ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「東ベルリンから来た女」

130130 チネチッタ 原題:BARBARA 独105分 [監]クリスティアン・ペツォールト、[出]ニーナ・ホス

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1980年、東独、バルト海沿岸の片田舎の病院が舞台。西独移住を申請が却下された女医バルバラ、ベルリンからここへ「左遷」される。常にシュタージ(秘密警察)に監視され、病院では、事情を知る医師仲間から同情され腫れ物に触るような扱いの日々に、些かウンザリ。必要以上に無愛想で冷淡な態度しか取れない。西独在住の恋人との逢瀬だけが楽しみであり、自分らしさが取り戻せる瞬間だ。後は医療活動に打ち込むだけだ。

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それでも、自分に好意を抱いてくれる同僚医師アンドレには少しずつ心を開いて行く。ある晩、密かに恋人と進めていた東独脱出計画を実行に移すことにするが・・・意外な展開が。最後に彼女を決断させたものとは?

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主演のホスの抑えた演技が生きている。それにしても、怖い表情が印象に残る。西独在住の恋人がかなり自由に往来が出来るのは、学会出席という名目があってのことだろうが、シュタージの厳しい監視の目をくぐり抜けて逢瀬を重ねられるのが少し不自然な気がする。また、冒頭から一切のBGM抜きだけに、ちょっとしたもの音がもたらす効果が効いている。

恋人は、西独では当たり前のベンツで東独に乗り入れる訳だが、森の中で、たまたま近づいて来たトラビ(トラバント、東独で8年待ちでやっと買えるプラスティック性かと思えるほど安っぽいおもちゃのような車)から降りた男がベンツをなめまわすようにしながら、あれこれ質問する姿がほほえましい。象徴的な東西の圧倒的力量差。

この邦題は秀逸。原題のままでは、???。東ベルリンから来た?どこへ?どんな女?という興味が湧くし、これは上手い。

#5 画像はALLCINEMA on lineから