ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命

130613 有楽町ヒューマン・トラスト 141分 原題はTHE PLACE BEYOND THE PINES 松林の向こうの土地という意味だろうけど、何とも散文的なタイトル。 一方の邦題、散々悩んで、長いけどそのままカタカナにしただけ。悩んだ挙げ句、どうもそれだけじゃ具合悪いと思ったか、何と後ろに取って付けたように「宿命」と入れてある。確かに宿命的な展開になるのだ。親の因果が子に報い・・・みたいにね。

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いきなり、主演のルークを演じるライアン・ゴスリング(名前からしてアイリッシュ系)の鍛え上げた筋肉もりもりのアップ。この作品のために余程頑張ったみたい。後に、これが凄い威力を発揮する。

 

彼は伝説のライダー。NY州のちっぽけな田舎町、スケネクタディ(へんてこりんな名前だ。先住民の言葉かな)で、鋼鉄製球体の中に入って3人のライダーが高速で走り回ると言う、何とも危険極まる曲技が彼の稼ぎ。

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⬆ライダー姿がよく似合うゴスリング、なかなかかっこいいのだ。

 

ある日、昔の彼女、ロミーナ(エヴァ・メンデス)に会う。家に送っていって知ったのは彼との間に出来た息子がいること。一目見て、彼の中に強烈な父性愛が芽生える。これが物語の出発点。

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ライダーの稼ぎじゃたかが知れているから、手っ取り早く荒稼ぎして母子を楽にさせたい一念で、銀行強盗へ「転職」。立て続けに成功するが、3度目についに追いつめられる。

 

追いつめた警官に成りたてのエイブリー(ブラドリー・クーパー)と相撃ちなり、エイブリーは負傷、ルークはそのまま落命。

 

あれから15年、二人の息子は同じ高校の同級生、仲良しだが、ここからが結構な見せ場。

 

腐敗する警察、その中で案外うまく立ち回り、のし上がっていくエイブリー、かっこいいが、悲惨な末路を辿るルークの生き方が対照的。二人の子供達も、片や何不自由なく育ったボンボン風と、片や不幸を一人で背負ったような、暗くて何を考えているか分からないような無愛想風と描き分けてある。

 

ラストの、さすらいのライダーが秋深いニューヨーク州の山間に消えている姿が印象に残る。カメラワークも音楽も秀逸。

 

#43 画像はALLCINEMA on lineから