ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ローマでアモーレ」

130612 品川プリンス・シネマ

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原題:TO ROME WITH LOVE (ローマへ愛を込めて、という割に古典的なタイトル)。ちょっとこの邦題はないなぁ。ローマでアモーレだなんて、余りに下品というか安っぽいし、迎合し過ぎ。それにしても、さすがウディ・アレンだ、見せ場は作っているし、終わってみれば、良かったと思わせる。

 

ただ、このシリーズの他の作品、「それでも恋するバルセロナ」(2008)、「恋のロンドン狂騒曲」(2010)、「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)などに比べれば、出来映えはイマイチだ。冒頭、懐かしいドメニコ・モドゥーニョVOLAREが効いている。

 

四つの別々の話が互い違いに語られる群像劇だが、これらがどこかで交錯する手法ではない。かと言って順番に話が展開するオムニバス方式でもない。なんとなく中途半端な感は否めない。

 

それと、これもさすがアレンと思うのは、一流俳優が結構つまらない役で贅沢に使っていることだ。アレック・ボールドウィンを、建築家志望のアメリカ人青年ジャック(ジェシー・アイゼンバーグ、例のFACEBOOK創業者ザッカーバーグ役では上手かったが)につきまとっては恋の助言を与えるという、なんともしまらない役につかったり、ペネロペ・クルスを娼婦に仕立て、田舎から新妻を親に合わせるために上京した新婚夫婦の部屋に、新妻が出かけた間に押し掛けて一騒動を巻き起こす役に。

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ペネロペさん、太って、ムチムチ。イタリア語が上手いのは定評があるが、まさに完璧!私はまったく評価しないエレン・ペイジもどうでもいい役。「ライフ・イズ・ビューティフル」のロベルト・ベニーニの登場は意外だった。しっかり存在感を示したが、この話もチト弱いなぁ。ある日、外に出たら新聞記者やカメラマン、パパラッツィが群がって、訳もなく突然有名人になって、もてはやされ、そしてアッという間に忘れ去られ・・・。おかしくて、やがて哀しいお話。

 

そんな中で最もびっくりだったのは、嘗てマカロニ・ウェッステルンで一世を風靡したかのジュリアーノ・ジェンマがちょい役で登場。エンド・ロールを見るまでは気づかなかった。今、74歳ぐらいだから、変貌していて当然!

 

もう一つの驚きは、テノール、それもバリバリの現役、ファビオ・アルミリアートが、何故かシャワーを浴びている時だけ、もの凄い歌手になれると、という特異な才能があるのだが、家族は誰も気づかない。それを娘のフィアンセの親という間柄で知り合ったジェリー(ウディ・アレン)が知って、一流劇場の舞台に出演させることに成功。ただし、常にシャワー浴びながらの演技という、何ともドタバタの巻。

 

バカバカしいのだが、やはりかなり笑える作品で、私は十分楽しめた。それにしても、いつもながら、77歳にもなる監督の、この若々しい、瑞々しい感性はどうだ!

 

#42 画像はIMdb、及びALLCINEMA on lineから