130612 品川プリンス・シネマ
原題:TO ROME WITH LOVE (ローマへ愛を込めて、という割に古典的なタイトル)。ちょっとこの邦題はないなぁ。ローマでアモーレだなんて、余りに下品というか安っぽいし、迎合し過ぎ。それにしても、さすがウディ・アレンだ、見せ場は作っているし、終わってみれば、良かったと思わせる。
ただ、このシリーズの他の作品、「それでも恋するバルセロナ」(2008)、「恋のロンドン狂騒曲」(2010)、「ミッドナイト・イン・パリ」(2011)などに比べれば、出来映えはイマイチだ。冒頭、懐かしいドメニコ・モドゥーニョのVOLAREが効いている。
四つの別々の話が互い違いに語られる群像劇だが、これらがどこかで交錯する手法ではない。かと言って順番に話が展開するオムニバス方式でもない。なんとなく中途半端な感は否めない。
それと、これもさすがアレンと思うのは、一流俳優が結構つまらない役で贅沢に使っていることだ。アレック・ボールドウィンを、建築家志望のアメリカ人青年ジャック(ジェシー・アイゼンバーグ、例のFACEBOOK創業者ザッカーバーグ役では上手かったが)につきまとっては恋の助言を与えるという、なんともしまらない役につかったり、ペネロペ・クルスを娼婦に仕立て、田舎から新妻を親に合わせるために上京した新婚夫婦の部屋に、新妻が出かけた間に押し掛けて一騒動を巻き起こす役に。
ペネロペさん、太って、ムチムチ。イタリア語が上手いのは定評があるが、まさに完璧!私はまったく評価しないエレン・ペイジもどうでもいい役。「ライフ・イズ・ビューティフル!」のロベルト・ベニーニの登場は意外だった。しっかり存在感を示したが、この話もチト弱いなぁ。ある日、外に出たら新聞記者やカメラマン、パパラッツィが群がって、訳もなく突然有名人になって、もてはやされ、そしてアッという間に忘れ去られ・・・。おかしくて、やがて哀しいお話。
そんな中で最もびっくりだったのは、嘗てマカロニ・ウェッステルンで一世を風靡したかのジュリアーノ・ジェンマがちょい役で登場。エンド・ロールを見るまでは気づかなかった。今、74歳ぐらいだから、変貌していて当然!
もう一つの驚きは、テノール、それもバリバリの現役、ファビオ・アルミリアートが、何故かシャワーを浴びている時だけ、もの凄い歌手になれると、という特異な才能があるのだが、家族は誰も気づかない。それを娘のフィアンセの親という間柄で知り合ったジェリー(ウディ・アレン)が知って、一流劇場の舞台に出演させることに成功。ただし、常にシャワー浴びながらの演技という、何ともドタバタの巻。
バカバカしいのだが、やはりかなり笑える作品で、私は十分楽しめた。それにしても、いつもながら、77歳にもなる監督の、この若々しい、瑞々しい感性はどうだ!
#42 画像はIMdb、及びALLCINEMA on lineから