170509 原題もCAFE SOCIETY 米 96分 脚本・監督:ウディ・アレン
1930年代後半という時代設定。ウディ・アレンがその時代、自ら体験したことを軸に設定された展開のようだ。舞台はニューヨークとL.A.だが、当時の時代感がよく画面に出ている。色調やバックの音楽も厳選して、仕上がりは素晴らしい!最近、ハリウッド製の作品はC.G.多用の大仕掛けなものばかりだから、たまにこういう作品を見ると、癒されるというか、なんとなくホッとする。
N.Y.在住の主人公ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)、ハリウッドでエージェントして成功している叔父フィル(スティーブ・カレル)を頼って、L.A.に。とりあえず、雑用係として採用される。フィルの計らいで、秘書、ヴォニーことヴェロニカ(クリステン・スチュアート)にハリウッドを案内され、ビバリーヒルズの有名俳優の豪邸などを見て回ったりしているうちに、ヴォニーに恋心。
ヴォニーに恋人がいると言われて、あっさり断念。実は、その相手とはフィル叔父と判明。すったもんだの挙句、ヴォニーはフィルと一緒になり、ボビーは傷心の思いで、故郷のN.Y.に帰り、ギャングである兄が経営しているクラブで働き始め、やがて経営者として頭角を表すことに。
クラブで偶然知り合ったその名もヴォニーと同じヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)という女性⬆︎に熱を上げ、結婚して幸せを手に入れるのだが・・・。
彼のクラブに現れたフィルとヴォニー。久しぶりに再開したヴォニーとボビー、セントラルパークで迎える夜明け、流れるマンハッタンの調べ、もの憂いエンディング。
82歳のウディ・アレンだが、未だに若々しい感性の作品を作り続けるエネルギーには驚かされる。アレンはユダヤ系だが、主演のアイゼンバーグもユダヤ系で、自分の若き日を彼に重ねているように感じられる。
数々のお気に入りの女優を主役に起用してきたアレンが、今回選んだのがクリステン・スチュアート。これまで、ダイアン・キートン、ダイアン・ウィースト、最近では、ペネロペ・クルス、そして最もお気に入りだったのはスカーレット・ヨハンソンとなんとなく共通点があるが、このクリステン・スチュアートはかなり雰囲気が異なる。クールで、セックスアピールはないが、アンニュイ感漂うタイプは、彼の作品では珍しい部類だろう。
もう一つ、珍しいのは、全編、アレン自身のナレーションが入ることだ。出演せず、ナレーションだけというのは、この作品しかないらしい。
派手さはないし、話の展開もごく普通だが、案外共感し、飽きずに没入できる作品。
#24 画像はIMDbから。