ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「コン・ティキ」

130705 チネチッタ 原題もKON-TIKI  113分 英・ノルウェー・デンマーク・ドイツ合作 有名な人類学者トール・ヘイエルダール(ノルウェー)が、ポリネシア人の祖先はアジア人でなく、東から赤道海流に乗ってきた南米人とする仮説を立証するため、1500年前と同様な製法によるバルサ製筏で、ペルーから無事8000kmを渡りきり、自説の正当性を立証した感動ドラマ。

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1947年(昭和22年)4月末から101日目に達成し、世界を驚かせた。その時にヘイエルダール自身が撮影したフィルムによる記録映画は、1951年に公開され(日本未公開)、その年のアカデミー賞(記録映画部門)を受賞した。なお、本作品の企画にもヘイエルダール自身関与したが、2002年に87歳で没した。

 

幼い頃から探究心と冒険心に富むヘイエルダール、妻と共に過ごしたポリネシアで、妻が発した一言、「こんな強い波に逆らってここまで到達したアジア人て、余程屈強だったのね!」にインスピレーションを得て、海流に乗ってきたのは逆の方向から来た南米人だったという、当時としてはあり得ない仮説を立て、論文を出版社に売り込もうと奔走するが、取り合ってもらえず、かくなる上は自ら立証するしかないと、この壮大な航海への要員と資金調達へ舵を切る。

 

なんとか金もスタッフも揃って出航となるが、なにせ8000km!!!当然、平穏な航海などあり得ない。嵐に見舞われ、サメに取り囲まれ、赤道海流になかなか乗れないばかりか、下手すると出航した岸へ戻されるのではという不安に苛まれる。その上、多国籍乗組員同士にも一時剣呑な空気が流れ、気持ちが何度も萎えそうになる。

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サメがうようよ泳ぐ海に落ちた仲間の救出に必死の乗組員。

しかし、持ち前の明るさ、楽観主義、リーダーシップ等々で、ついに飛ぶ鳥を発見、島が近いことを知って大騒ぎ。しかし、最後の難関、カミソリの刃のように切り立った暗礁が彼らを待ち受ける。

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ついに達成した快挙、仲間と浜辺で抱き合うヘイエルダール

到着後、開封した妻からの手紙には、「おめでとう!」と同時に、同じ世界では生きられないから別れましょうという内容だったのは、見ていて、かなり辛いものがある。

 

オチと言う訳ではないが、8000kmも航海したこの人物、実はカナヅチだったという信じられない本当の話。

 

我々が若い時代には結構話題になった話で、彼の航海記も世界中で5千万部を売れたそうだが、今、この話を知っているヤングも少ないし、素晴らしい作品なのだが、連日映写館はガラガラらしい。もったいない話だ。

 

撮影は、タイ、モルディブ、マルタなどで行われたらしい。ノルウェー映画として、第85回アカデミー賞外国映画部門への同国からの正式出品作品。英語とノルウェー語の2種類製作。

 

#51 画像はALLCINEMA ON LINE