140902
原題:DE TOUTES NOS FORCES(「全力で」、「力一杯」の意)仏 90分 原案・脚本・監督:ニルス・タヴェルニエ(「田舎の日曜日」、「ラウンド・ミッドナイト」のベルトラン・タヴェルニエの息子)
失業して久しぶりにプロバンスの自宅に戻って来た無口な父と、車いす生活の肢体不自由児の息子が、鉄人レースに参加し、15時間以上かけ、ついにアイアンマンの称号を手に入れるまでの感動ドラマ。
最近見た「ママはレスリング・クイーン」(仏)や「人生はマラソンだ!」(オランダ)に一脈通じる親子間の感情のもつれを、思いもよらぬ方法で解決する人生ドラマ。
⬆いい味を出している、ジャック・ガンブラン、こういう役にはまさに打ってつけ。
主人公のポール(ジャック・ガンブラン)、無骨で無口、一人息子のジュリアンとも、これまでまともに向き合ったことのない父親である。母親である妻のクレールには、それがただただ腹立たしく、ついポールに当たり散らしてしまう。
それでもジュリアンは素直に育って来ているが、ここへ来て少しだけ反抗期を迎えている。そういう年頃だから当然だ。自分とまともに話もしない父親には日頃から不満だが、甘えたくもある。
そんなある日、チラシでニースで行われる”アイアンマン・レース”(トライアスロン)のこと知り、ポールに一緒に出場して欲しいと告げるのだが、相手にしてもらえない。ポールが嘗て出場したのは、ずーっと若い頃だし、今はそんな力もない。それに第一ジュリアンと一緒など、話にならないと一蹴されてしまう。
このジュリアン、なかなか見所があるのは、その程度のリアクションは想定内だったらしく、あの手この手を使い、友人を巻き込んで父親をその気にさせる大作戦を展開するから大したもの。
プロバンスの山岳地帯で懸命にバイクの練習をする二人。至福の刻が流れる。周辺の景色の美しさも際立つ。
すったもんだの挙げ句、ついに出場することに。健常者でも、次々に脱落者が出る中、これだけのハンディを背負って、ついに完走する。多分、そんな流れだろうと、誰もが想像がつくエンディングにも関わらず、ウルッと来てしまう。
⬆家族ですら、まさか完走できるとは信じていなかったのに・・・ゴールして抱き合う父と子。
⬆オーディションで選ばれた、実際車いす生活のファビアン・エローが自然な演技を見せる。
#72 画像はALLCINEMA on lineから