170327 原題もPASSENGERS 米 2016 116分 監督:モーテン・ティルドゥム(ノールウェー人、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」2014)
⬆︎タイトルの下にあるは、モールス信号でS.O.Sのことらしい。
典型的なスペースSF。汚染され、過密状態の地球から人類の移住先は、もはや他の類似惑星しかないと、120年かけて、巨大なスペースシップAVALONで、とりあえず5000人が冬眠状態のまま宇宙へ船出することに。
「2001年宇宙の旅 (2001:A SPACE ODYSSEY) 1968米 」で登場した宇宙船に比べると、複雑であまり美しいとは言えない姿に進化している。
冬眠用カプセル sleeping chamber(hibernation pod)がずらりと5000台も並んでいる場面はなかなかの壮観!この一つに不具合が生じてジム(クリス・プラット)は、飛行開始から30年で目覚めてしまう。あと90年飛び続けないと目的のコロニー、Homestead IIへ到達できない!
超豪華な内部構造を持ったスターシップ・アヴァロンには、宇宙での生活を楽しめるああらゆる贅沢な設備が整っている。
中華料理屋で(背景には漢字やかなも見える)注文するジム。
話し相手になってくれるロボット・バーテンダー、アーサー(マイケル・シーン)のいるバーには毎晩のように現れるジム。ここで、1年以上の孤独な生活には耐えられないから、お気に入りの女の子(オーロラ - ジェニファー・ローレンス)のチェンバーを開けようか悩んだ挙句、アーサーに漏らしてしまう。
なぜ事故(ジムの仕業だが)で自分だけ目覚めたか不審に思うオーロラだったが、人間は二人しかいないし、次第に”犯人”であるジムに打ち解ける始める。
星空を眺めながら泳げるプールのシーンは、幻想的である。
可愛い娘と二人だけになり、しかも愛し合うことに発展するわけだから、ジムにしてみれば、このままスペースシップの中で朽ち果てても構わないと思ってしまうのも無理からぬところ。
ところが、そうは問屋が卸さないとはこのこと。他言無用と釘を刺していたロボットのアーサーが、一人でカウンターで酒を飲むオーロラに”秘密”を漏らしちゃったからさあ大変!!この時のローレンスの驚きから怒りへと変化していく表情の凄さったら、たまらない。
恋人どころか、一転して殺人者のレッテルを貼られてしまったジム、以降は地獄の日々。ところが、次々にアヴァロンに事故が発生して、二人は結局力を合わせざるを得ないことになる。襲いかかる事故への対応、乗組員でもない、ただの素人乗客の手に負えるようなシロモノではないのだが、なんとかマニュアルを見ながら対処していくところはあまりにご都合主義で、笑ってしまう。
その後、どうなったか。ジムがなんとか一人分の冬眠用カプセルを修理し、嫌がるオーロラに再び冬眠させ、自分一人だけ、バーテン相手に余生を送る決断をするのだったが・・・
ジェニファー・ローレンスの演技は大したもの。クリス・プラットは凡庸。途中で登場する船長役のローレンス(紛らわしい)・フィッシュバーン(「地獄の黙示録」)が、でっぷり太ってしまって、まるで別人!
いろんな最新鋭医療機器を積み込んでいるのに、あっけなく死んでしまう。クレジットにアンディ・ガルシアの名前があったので、いつ出てくるのかと思っていたら・・・!!しかも一言のセリフすらなし。カメオ出演にしておけばよかったのに。
まあまあ楽しめた作品だった。スペースシップのデザインも面白いし、内部の設備が極めて精密にできており、広々したレストランでなんでもお好みのものを調理してくれる装置や、ユーモラスな清掃用ロボット、宇宙空間にせり出した巨大プールなどなど、どれも感心する出来栄え!
#15 画像はIMdbから