180312 93分 撮影・編集・監督:小森はるか
小森はるか(29)は、同級生である、画家で作家の瀬尾夏美に誘われるまま、大震災の3週間後に被災地へ。何かの役に立てればいいぐらいの軽い気持ちで撮影を始め、次第に映画にしたいという創意を得たらしい。
主人公の佐藤貞一は自宅兼店舗を津波で流された後に、自力で仮店舗を再建、タネ屋を開始する傍ら、記録にとどめたいと思うようになった。そこまでは大して驚かないのだが、すごいところは、日本語で綴ると、恥ずかしさや衒いもあり、あえて外国語で綴ることにし、独学で英語と中国語を習得してそれぞれの言語で出版したこと。
それを小森のカメラの前でこともなげに言うことには呆気にとられた。更に、実際に自著を読み上げる場面も出てくるが、これがなかなかのもの。時折、発音が分からないと電子辞書でネイティブの発音を聞いて確認している。東北魂というか、本人は気仙沼魂と映画の中では笑い飛ばしていたが、その独創性、発想力、負けん気、復興に対する意欲、etc.、まあとんでもない人材がいたものだ。
手先も器用で、なんでも自分で作るし、修理もしてしまう佐藤貞一。この人にとっては、悲しんでいる暇もないということのようだ。
#21 画像はALLCINEMA on lineから。