180827 ON CHESIL BEACH 英 110分 監督:ドミニク・クック 原作:イアン・マキューアン
作品より、主演のシアーシャ・ローナンを見たかった。作品としても上々の出来栄え。一目惚れして一気に燃え上がったフローレンスとエドワード、生まれ育った環境も家庭環境もまったく異なり、周囲が多少危ぶむ中、結婚に至るも、旅行地ドーセットのチェジル海岸の安宿で・・・。
今から60年前という時代も反映されており、うぶな二人にはとまどうことばかり。挙げ句の果てに、せっかく選んだこの砂州で激しい口論となり、あっという間に破局!わずか6時間の結婚生活に幕。
それから40年の時を経て、ジャズ専門のちっぽけなレコード屋を営むエドワードの元へチャック・ベリーのレコードを買いに来た少女。嘗て夢中になったことのあるチャック・ベリー、どうしてこんな娘が?訝しげに少女の顔を見て、ハッとするエドワード。
若い頃からヴァイオリンを弾き、五重奏団のリーダーとして活躍していたフローレンス、その音楽活動はエドワードと別れた後も熱心に続けており、彼女の夢はロンドン市内のウィグモア・ホールで演奏会を開くというもの。
ある程度予測はついていたが、エンディングはなかなか感動的!惜しむらくは、老けメイクをもう少しうまくやってれば言うことはないのだが。
イングランドの美しい自然がたっぷりと画面に広がり、BGMは、冒頭とエンディングではジャズ、中間部のほとんどがバロック中心のクラシックの、やや重厚な調べと、進行に合わせて見事に使い分けていて、感心した。
シアーシャ・ローナン、子役時代は美少女の名をほしいままにしたアイリッシュ、現在24歳、ほんの少しだが、顔つきに変化が見られ、美少女の影が薄れつつあるのは残念至極。だが、演技は文句なしに素晴らしい。Saoirseと綴ってシアーシャと発音させる。さすがケルト語系のゲール語だ。
エドワードに扮したビリー・ハウルだが、正直、ちょっと冴えない。シアーシャとの釣り合いを考えると、ややミスキャストのような感じも。いかにも田舎臭く朴訥としていて、それがいいのかも知れないが。
1998年、アカデミー主演女優賞ノミネート(「本当のジャクリーヌ・デュプレ」では、もともと幼少時からやっていたチェロの腕を撮影のために磨き抜き、ほぼ自身で演奏したと聞く)されたエミリー・ワトソンも、さすがに老けた。それにしても、この重々しいヘアスタイルには驚く。
タイトルになっている Chesil Beachとは、ドーセット州の海岸に沿って長く延びる砂州で、上の画像にあるように砂州とは言え、小石だらけで、そこを二人がザクザクと歩きにくそうにしているシーンが印象的。
#62 画像はIMBdから