ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「3人のアンヌ」

131112 原題は韓国名につき、表記不可。2012年の韓国映画。ヨーロッパでもそれなりに人気があるというホン・サンス監督作品。どこかとぼけた、ひょうひょうとした作品。

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映画学校の学生ウォンジュが、仏人のアンヌを主人公にした3本の脚本を、暇に任せて書き始める。どれも、南部にあるビーチリゾート、モハンにある安普請のバンガローとそこのビーチを舞台に設定した軽快なドラマ。

 

どこか欧州の映画祭で知り合ったという監督と、世界的女優のイザベル・ユペールが意気投合したのか、ひょうたんからこま式に出来た作品か。よく大女優がこういう作品に出ると決めるには、よくよくサン・ホンスが気に入ったのだろう。

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モハンという海岸は、ビーチリゾートとは言え、ちっぽけな灯台がある意外、周辺にはなーんにもなく、がらんとした、寂れた印象。しかも、海はやけに白っぽいだけで、およそ誰もがいだくビーチリゾートからかけ離れている。

 

そんな風景に、いかにもそぐわないユペールには意外感しかない。しかも、ほぼスッピンで出演しているのか、これまでの作品で見た彼女ではない。もともと美人女優ではないけど、それなりに見栄えがしたものだが、ここでは年齢を重ねた手足にソバカスだかシミだか、一面に浮き出て、チトがっかりしながら見ていた。

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ただ、作品としては、案外楽しめた。韓国語と英語なのだが、韓国人も日本人並みに英語が下手、ユペールも得意でないが、相互コミュニケーション上、英語をしゃべるしかない。そんな、お互いカタコト同士ゆえの、どこか噛み合ない会話が、結構笑いを誘う。

 

映画監督、ペンション経営者、ライフガードの若者、民俗学者、僧侶など、様々な地元の人間と接する主人公のコミカルな演技が見ものだ。

 

 

#92 画像はALLCINEMA on lineからお借りした。