ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ガルヴェストン」@Amazon Prime

201030 Galveston 米 91分 2019年5月日本公開 割と好きなフランス女優のメラニー・ロランが監督と知って見ることに。まさか彼女が監督業を始めていたことも知らなかったし、それもアメリカ映画とは、二重の驚きである。しかもテレビ映画も含めるとこれが4作目というから。37歳の若さで!!

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殺し屋がボスに裏切られ、偶然現場に囚われていた19歳の娼婦と故郷のテキサス州ガルヴェストンへの逃避行。途中、女の故郷であるオレンジ郡に立ち寄り、妹(実は娘)と言う3歳の子も道連れとなるロードムーヴィー。

よくあるパターンだが、フランス女性が監督するとこんな感じになるのかと思わせるような構図、色調、カメラアングルなど描写が、殺伐とした内容にもかかわらず、印象的で興味深い。

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一緒に逃げてきた女(エル・ファニング)とガルヴェストンの海岸で穏やかに過ごすひと時。

冒頭とラストシーンは、巨大ハリケーンが迫り来るガルヴェストンである。20年の時の隔たりはあるが。男はハリケーン吹きまくる中を、20年前のビーチのシーンを思い描きながら、淡々と歩みを進める。

ガルヴェストンはテキサス州で、メキシコ湾の砂州の上にできた町。19世紀初頭にはテキサス共和国の首都だったこともあるが、ハリケーン常襲地であることから、人口減少で今ではすっかり寂れた町になってしまっているようだ。愚亭にとって昔から馴染みのある名前なのは、映画「ジャイアン」(1956)の主題歌に登場していたことによる。

ついでながら、このように地名だけが映画のタイトルになっている作品は古今数知れず、最近のものだけでも、デトロイトローマメキシコ映画だが)、パリ(凡作)、ベイルートシカゴ(ミュージカル)、古いところではロッコカサブランカ、etc.とキリがない。有名大都市でない方が、作品としては優れている傾向が見られるのが面白い。