210425 LA TEMPLANZA (慎み、調和)シリーズ1 全10話 スペイン
配信直後の最新作。主人公のマウロ(ラファエル・ノヴォア、コロンビア人、日本ではほぼ無名)とソレダ、愛称”ソル”(レオノール・ワトリング)の二人が、それぞれの家庭の事情で故国スペインを離れ海外へ。そして、運命の糸に導かれるように、再びスペインに戻るまでの波乱万丈の20年を描きます。景色と音楽が美しいです。
主人公ソレダに扮するレオノール・ワトリングは現在46歳、若い頃(26〜27歳)に出演したペドロ・アルモドバル監督の「トーク・トゥ・ハー」(2002)やビガス・ルーナ監督の「マルティナは海」(2001)では輝くような透明感のある女性を生き生きと演じて強く印象に残っていたスペイン女優ですが、さすがに久しぶりに見ると、画像が細密になっていることもあり、容色はさすがに衰えていて、ちょっと気の毒。
イギリス人の母親と南スペイン、カディス出身の父親の下でマドリッドで生まれており、英語とスペイン語の完全なバイリンガルなので、本作は舞台がヘレス(シェリー酒の故郷)とロンドンがメインなので、まさにうってつけ!他に大した俳優が出ていないこともあり、本作は彼女のキャスティングで成功していると言ってもいいほどです。
マウロはやっと男の子を授かったのに産後の肥立ちが悪く、あっけなく妻を亡くしてしまい、子供二人を連れて新天地メキシコへ出て、銀の鉱脈を探り当て、一大資産を気づきます。
一方、イギリスでの大手ヘレス(シェリー)輸入業者とヘレス生産者の間でのいわゆる政略結婚が発端となり、本来結婚する予定だった姉に代わり、輸入業者の男に気に入られた妹がヘレスを離れ、不慣れな土地、ロンドンで暮らすことになります。
その後、紆余曲折を経て、この二人がまさに運命の糸に導かれるようにして、ヘレスで出会い・・・。途中、ハバナ(キューバ)が舞台になったりしますが、撮影が丁寧で、19世紀の家並み、コスチュームなど、楽しむ要素に溢れているのもこの作品の特徴でしょうか。
主人公の名前、Soledadはスペイン語で”孤独”という意味ですが、本作のタイトル、そしてソレダの実家が所有していた広大なヘレスのワイナリーの名前でもあるLa Templanza(慎み)に呼応しているように映ります。
いかにもこの後のシリーズを予感させるような終わり方です。