230228 DOLOR Y GLORIA 西 2019 1h53m 監督:ペドロ・アルモドバル
アルモドバルの作品はほとんど見ていますが、本作はまったく知りませんでした。アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスの共演も大いに興味を引きました。タイトルからある程度、中身の想像はできましたが、主人公の深層心理を深く掘り下げ、バンデラスの演技がまた素晴らしく、最近見たスペイン映画では秀逸の出来栄えでした。
ペネロペさんも、演技の幅が実に広いことを改めて知らされました。すっかり国際的大スターになった今もこうした比較的地味な役柄を、じっと抑えた演技で支え切った印象です。
監督の自伝的な内容のようです。かつて名作を次々に世に問うて名声を恣にしていたバンデラス演じる主人公、その後、肉体的、精神的に病み、マドリッドで隠遁生活同然の日々。
そんなある日、喧嘩別れで絶縁状態だった俳優に、郊外のエル・エルコリアルまで会いに行き、かつての栄光の日々の一端を垣間見ることになり、そのことが縁で、一時期を共に過ごしたゲイ友との再会を果たします。
若き時代の母親と自分の少年時代の描写で「はい、カット!」、撮影現場で指揮を取る監督は彼自身(バンデラス)という、意外かつ洒落たラストシーンには、思わずぞくっとしました。