ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「オリーブの下に平和はない」@Amazon Prime Video

220819 NON C'È PACE TRA GLI ULIVI (正確には、オリーブの木々の間には平和はない、ですがこの邦題は優れていますね。)イタリア 1950  107分 監督:ジュゼッペ・デ・サンティス(「苦い米」1948)

戦後間もない頃の作品ゆえ、会話、台詞回しがいかにもぎこちなく、ちょっと笑ってしまいますが、これって、日本映画でもその当時の作品を見ると、同じように感じますので、演技がうまいとか下手とかいう問題ではないでしょう。

ラフ・ヴァローネ、この時、34歳で、ギラギラしたものを全身に漲らせています。また相手役のルチーア・ボゼーに至っては19歳!ピチピチ、ハツラツで、ムンムンするほどのセックスアピールを纏っています。早熟です。後にスペイン人俳優、ルイス・ミゲル・ドミンギンと結婚し、スペイン映画にも多く出演したりして、スペインで亡くなっています。

農場主(フォルコ・ルッリ)に弄ばれるルチーア(ルチーア・ボゼー)

舞台は監督の出身でもある山間地チョチャリーア(ローマの東南東100km)にある村です。復員してきた主人公フランチェスコラフ・ヴァローネ)は、自分がいない間に全財産どころか、許嫁(ルチーア・ボゼ)までを農場主(懐かしやフォルコ・ルッリ、代表作「目には眼を」)に奪われているのを知り、土地の古い仲間を味方につけ、復習を遂げるまでを描きます。半分は実際に起きたことらしいです。

主役以外は、ほとんどは土地の住人でしょう。演技をつけるのは大変だったことでしょう。敗戦に打ちひしがれていたのは、我ら同様で、そこから5年、なんとか再興を目指そうとする意気込みとか将来を見据えようとする作者の視点が感じられる作品になっています。

ちなみにデ・サンティス監督はルチーア役には「苦い米」で主役に抜擢したシルヴァーナ・マンガノを充てる予定でしたが、妊娠中としり、急遽ルチーア・ボゼーに変更したと伝わっています。