221212 UN HOMBRE DE ACCIÓN (行動の男)2022 スペイン 1h51m 監督:ハビエル・ルイス・カルデラ
面白くないわけではないのですが、どうもテンポというか運び方がうまくない、展開に起伏がない、つまり脚本に難ありということでしょうか。どうやら実際に起きたことらしいです。実在モデルがいらした様子ですが、配役にまずは失敗しています。もう少し魅力ある俳優を使っていればと、そこも少し残念かな。
登場人物はスペイン人ばかりなのですが、物語の舞台がほぼパリ、それも1960年代から1970年代にかけてで、愚亭が住んでいた時代に少しかかるので、走る車やファッション、流行していたシャンソンなど、懐かしいものが多かったので、その辺は楽しめました。主人公のカップルが室内で踊る場面では、シルヴィー・ヴァルタンの「アイドルを探せ!」、ラストシーンでは「マイ・ウェイ」の原曲、"Comme d'habitude"(クロード・フランソワ)が流れました。
一介のレンガ職人が、当時流行のアナキズムにかぶれ、仲間と悪事に手を染めていきます。ついには銀行強盗までやるようになるのですが、その理屈は銀行は庶民のなけなしの金を巻き上げ暴利を貪っているけしからぬ存在である、というものです。本人たちは至っておおまじめなんです。どこかやることなすこと間が抜けていて、滑稽ですらあるので、憎めない存在です。
さらには偽札作りへと犯罪が”進化”していきます。ドル紙幣でしくじると、次は当時市場でよく流通するようになっていたトラヴェラーズ・チェックのフェイクを刷り始め、発行元のファースト・ナショナル・シティーバンクと取引して、主人公のルシオは莫大な見返りを得ます。そして、家族の待つボリヴィアへと。
という具合で、盛り上がりに欠ける作品で、元の話が悪くないだけに、ちょっともったいないという気がしました。