221210 YARA 2021 伊 1h36m 脚本:グラツィアーノ・ディアーナ、監督:マルコ=トゥッリオ・ジョルダーナ
実話に基づいたイタリア映画ということで、評価も気にせず見始めましたが、見事な作品でした。仄聞するに、日本でもテレビで再現ドラマとして放映されたことがあるという、結構国内外にも知られた事件だったそうですが、愚亭は知りませんでした。
開巻がいいです。ミラノ近郊の街外れでラジコン飛行機に興じるおっさん、最後は墜落させてしまいます。その回収に向かうと・・・・。そこから、数ヶ月前に時間軸が戻されます。
舞台は同じく北伊にある古都ベルガモです。新体操の練習に打ち込む13歳のヤーラ、練習で使うラジカセが壊れたので、父親から借りたものをとりあえず練習会場に届けただけど、その日は母親から言われた門限、7時45分まで帰ろうと、雪が降る中、急ぎ足です。
その時、ヤーラが歩く方向にゆっくりと走る車が一台、これが事件の始まりです。家に戻らないヤーラを心配した家族がさっそく地元の国家憲兵(Carabinieri)に捜索願いを出します。
事件を扱うことになった検事は女性のレティーツィア・ルッジェーリ(イザベッラ・ラゴネーゼ)。きびきびと、いかにも切れ者という雰囲気の彼女、地元警察や憲兵と緊密に連携しながら、的確に指示を出していき、当初は解決も近いと思わせますが、これがどうしてどうして。
事件は深夜早朝でもなく平日の夕方なのに目撃情報もなく難航しまくります。やっとDNAに活路を求めることになるのですが、これがまた市民の共感を得られず、無能の烙印を押され、彼女も覚悟します。しかし、彼女を見捨てない協力者がいるのですねぇ。
いやいや素晴らしい信念と意志の力を見せてくれましたよ、この女性!実際の事件では検事役は男性でしたが、脚本の段階で女性に変更し、これはまんまと成功しています。この尺に無理なく収めた手腕も見事です。いい作品です。