220310 THE LOST DAUGHTER (失われた娘)・英・イスラエル・ギリシャ合作 脚本・監督:マギー・ギレンホール、原作:エレーナ・フェランテ
自分には母性というものがないと、若い時代に育児放棄して別の男性に走った過去を持つ比較文学の教授レダ・カルーゾがワーキング・ホリデイでギリシャのとある島で一夏を過ごす。
たまたまビーチで知り合った幼い女児を持つ家族との交流を通じて、一度は自分自身に嫌気がさし、自暴自棄になりかかるものの、最後は娘からの電話で、自分がこの後進むべく、立ち直るきっかけを見出していく。
この作品を見ようと思ったきっかけは、まずはオリヴィア・コールマンが主演していること、次にマギー・ギレンホールが脚本・監督をしていることに興味を持ったことですが、少々裏切られました。
思わせぶりなカットがいろいろ出てきて、何かの伏線になっているのかと思うと、そうでもないし、また意味のない会話のシーンが延々とあって、これものちのち何かを視聴者に考えさせようと言う意図かと思えば、それも違うなあという感じで、気づいたら終わっていた、というそんな感じでした。ま、あまりおすすめはできない作品でした。
そもそも思慮深い女性に思える主人公がなんで育児放棄のようなことまでして、仕事仲間とも言える男性に走ったのか、そこがうまく描かれていないのが惜しいです。そこは原作の問題かも知れませんが。
若い時代のレダの自宅に突然カップルのハイカーが訪ねてくる場面があり、しかも迷わずに家に上げただけでなく、食事まで振る舞いすっかり打ち解けるのですが、意図するところがまるで分かりませんでした。
ちなみにハイカーの一人を演じたのはイタリアの人気女優、アルバ・ロルバケールで、これにも少々意外感がありました。主人公がイタリア語を学んでいて、二人でイタリア語を話したりしていましたね。アルバさん、ずいぶんぽっちゃりしちゃったなあ。
マギー・ギレンホールは原作に感銘を受けて映画化を原作者に持ちかけたところ、女性が監督をするなら、と言う条件だったらしく、それならと彼女自身が脚本も含めて決めたそうです。
マギーは女優でもあるし、弟、ジェイク・ギレンホールが俳優としてはよく知られているでしょうか。また、映画の中で若き日のレダが入れ上げる相手を演じているのはマギーの実生活上のご主人である、ピーター・サースガードです。
主人公が投宿する宿の世話人をエド・ハリスが演じています。割と演技派ぞろいのキャスティングと言えます。コルマンは生粋のイギリス人ですが、映画の中ではアメリカ人を演じています。女王陛下を2度も演じていますし、英国訛りは抜けていないですね。