151108 原題もEVEREST 米 121分 製作・監督はアイスランド人のバルタザール・コルマウクル
1996年、実際に起きた悲劇をベースにしている。この大惨事については、生存者を含めて、いろんな人がいろんな形で書き残しているから、真相は大部分解明されている。従って、ほぼ実際に起きたことが本作に再現されたと見て問題ないのだろう。
本来登山家プロでないアマチュアを公募という形で登頂させる商業登山というシステムがあるとは、迂闊にも知らなかった。本作の場合は、リーダー役、NZのロブ・ホール(既にこの時点で、5度エベレスト登頂に成功している)が所属するアドベンチャー・コンサルタンツ社が、一人65000ドル(約700万円)で企画・募集し、8名を集客。一行は、プロ4名と共に、3月下旬入山、5月10日登頂と決定。
だが、他にも同じ時期に登頂を目指す隊が重なり、ベースキャンプは大にぎわい。しかも同じ5月10日頂上アタックとする隊が3つもあり、ロブ(ジェイソン・クラーク)は調整を求めるが、不調に終わる。この辺りに大惨事の伏線が。
さらに、午後2時までに登頂できなければ、どんな状況でも断念と指示していたのに、自らがこの鉄則を破って、遭難(プロ2名+顧客2名)したのは、顧客には何とかして、長年の夢を叶えさせてあげたいという、ロブの優しい人柄が災いしたとしか思えない。
これまで山岳映画は数々見たが、本作を凌ぐ作品は・・・滅多に。たまたまIMAX, 3Dで見たことにもよるが、撮影技術やCG技術の大幅な向上も、もちろん挙げられるだろう。IMAXの重い機材を抱えて、例えばクレバスを渡るベックの姿を上空、脇、さらには、俯瞰で撮影しているシーンには、思わず身体中が硬直した。
3D技術はどんどん進化しているから、当初の”飛び出す”効果より、人間が実際に見る、より自然に近い映像を作り出しているから、どうかするとミニチュア的に見える。ということは、普段見ている2Dという映像が、よほど不自然な見え方をしているということに他ならない。
一緒にアタックすることになった別の隊を率いるスコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)も、ガイドとの呼吸が合わず、遭難・絶命。
ベースキャンプでのサポート隊の面々にも諦めの表情が濃い。
死亡とほぼ断定されたテキサスの病理学者、ベック・ウェザーズ(ジョッシュ・ブローリン)、信じられない生命力で、翌朝、奇跡の生還を果たすものの、両手と鼻を失う。
日本人として一人参加した難波康子も登頂を果たすが、下山途中、ブリザードに巻き込まれ、凍死。彼女は、スポンサーをつけず、コツコツ貯めた資金でやりくりしていて、マスコミにはほとんど露出がないが、七大陸最高峰を極めた女流登山家としての業績は素晴らしい。(エベレストは下山途中で死亡しているため、成功とは言えないのか)
動画はこれ⬇︎
#84 画像はIMdb及びALLCINEMA on line、動画はYouTubeから