ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

黒い薔薇歌劇団による「魔笛」

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一昨年の公演がすこぶる好評で、今回再演となったのは、まことに喜ばしい。キャスト陣はほぼ前回と同じなのだが、パミーナが砂川涼子→嘉目真木子、パパゲーノが宮本益光→近藤 圭、ナレーションが長谷川初範→宮本益光、フルーティストが難波 薫→林 理紗という変更があった程度。

今回も当然ながら、宮本益光の主宰・構成で、ナレーションも自身で務めることにしたため、パパゲーノを近藤 圭に、ということになったのだろう。やはり、この方が全体にしっくり行ったと思う。

それと前回公演との最大の違いは、ピアノ伴奏からオケに格上げされたことだ。このオケが素晴らしい響きを聞かせてくれた。40名弱とこじんまりとした編成で、管と弦のバランスの良さに聞き惚れた。

必然的に歌手たちの活躍スペースは狭まったのだが、ほとんど違和感を覚えなかった。奥の一段高くなったスペースをうまく紗幕を使って活用していた工夫も大いに活きていたように感じた。

この「魔笛」、文字どおり魔、つまり舞台上のフルートに人格を持たせ、天使のごとく翼を背負わせて、歌手たちに混じって演奏・演技をさせるから、結構大役なのだ。

昨年、一人で伴奏をやりきった名手石野真穂、今回の出番はグロッケンシュピールだけだったので、若干手持ち無沙汰だったかも知れない。

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大塚博章(まことに口幅ったいが、昨年末、第九で、共演?したばかり)のザラストロはさすがの演唱で、その超低音の響きには圧倒されまくり。塩田美奈子、夜女としての存在感は依然健在!例のコロラトゥーラの最中に、ペンパイナップルアップルペンをやらせたのには、びっくり!

侍女3人は、これ以上ないほどパワフルな組み合わせで、しびれました!前回の砂川涼子にも勝るとも劣らない歌声を披露したのは嘉目真木子。なんとも華やかな舞台姿にはブラーヴァ!

こうやって上げて行ったらきりがないのだが、こんな公演が見られるありがたさ、幸せ感に浸った2時間半だった。

このまま終わらせるのは、あまりにもったいないので、3度目を是非とも考えて欲しい。

#3 (文中、敬称略)