ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

IL CONCERTINO

170917 さて、本日最後のイベントは、浜離宮朝日ホールで開催中の通称イルコン、IL CONCENTRINO(コンチェルトに縮小語尾を付したイタリア語、まあ、ミニコンサート)。川越から築地までの結構な移動。築地についても、まだしつこく降っている。

ちょうど、第4部が始まってしばらくしての入館。お昼から夜の8時45分までの大コンサート!IL CONCERTINOどころか、IL CONCERTONE(拡大語尾)の方がふさわしいぐらい。

何しろ、オペラ界でもきってのおしどり夫婦(ほんとのオシドリはそれほど仲良くないとも最近言われ始めているらしいが)である羽山晃生・弘子夫妻の教え子たちが年に一回、ここに集って、一年の成果をお披露目するというもの。

f:id:grappatei:20170918204437j:plain

f:id:grappatei:20170918204512j:plain

ちょうど10番目の櫻井 航の仮面舞踏会の「お前こそ魂を汚すもの」という有名なアリアから聴き始めた。社会人、音大生、卒業したての新人など、様々らしい歌手がこのコーナーに登場、そして最後は次第にプロ級が出始め、最後は超大物で締めくくり。いやぁ〜長丁場、お疲れさんでした!

重唱、8番目に登場された羽山弘子だが、昨年の「人道の桜」(杉原千畝を扱った新作オペラ)以来、久々に聴いたが、依然、豊かで瑞々しい発声に聞き惚れた。そのあとに、羽山晃生が登場。つい最近、「コウモリ」のアイゼンシュタイン役で聴いたばかりだが、その時は、テノールバリトンの中間的な印象を受けた(この役はどちらがやってもいいことになっているから、ま、当然)が、今回ははっきりとバリトンの声になっていて、ドミンゴ並みに、正式に転向されたんだという、やや感傷的な気分に。

f:id:grappatei:20170918210310j:plain

羽山晃生前坂美希、左の後ろ姿は伴奏する羽山弘子アイーダを歌い終わるや否や、伴奏を務めるという離れ技!お二人ともピアノの腕前には定評がある。この日のために、企画・構成、そして本番での伴奏・歌唱の全てをこなしてきた訳で、そのものすごいパワーには感心、というか感嘆あるのみ。

f:id:grappatei:20170918210434j:plain

大トリの梅津 碧だが、噂に違わず、こりゃまたすっごいのが出てきた!YouTubeで「キャンディード」の「きらびやかに着飾って」を聴いているから、驚きはしなかったが、超高音を苦もなく出しちゃうのは、もちろん本人の努力もさることながら天賦のものだろう。あとは海外で演技やら表情やら、声の色とかなんとか、細かいことについて研鑽を積めば、そのまま国際舞台で十分通用するし、そうなって欲しい。

彼女、羽山弘子の舞台を観て、オペラ歌手を目指そうと決めたというから、人の出会いとは、不思議なものだ。

失礼とは思いつつ、終演時間が予想以上に遅れたので、挨拶もせずに帰路を急いだ。

来年は20周年の節目のIL CONCERTINOになるので、すごい企画になるらしい。楽しみだ。

#59 文中敬称略