ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

これでアマチュア合唱団とは!

170501 自分が所属する大田区内の合唱団に、時折応援に来られるMさんが正団員の合唱団の20周年記念公演を聞きに、浅草のミレニアムホールへ。途中、昼食のため寄り道して、開演10分前に着いたら、すでにほぼ満員。

そして、間もなく開演。するとチェリストだけが登場、センター位置で、一人チューニングを始めると、左右からバラバラと合唱団員が登場、なかなか立ち位置が定まらず、その後も、一人二人と遅れて登場する団員たちも。不思議な登場シーンだが、これもあえてこうしたユルめの演出にしていることが徐々に分かってきた。

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合唱団にしては、妙な名前だ。ポトフはフランスの定番の家庭料理。煮込み料理の一種。「色んな素材をじっくり煮込んで、暖かい音楽を!」という意味合いの命名というから、素晴らしいネーミングと言っていい。

指導者のこの田中 宏という方の型破りの創作性とリーダーシップに若手中心の団員がしっかり応えて、ここまでついてきたのだろう。同じ合唱をやっている身にはあまりにも羨ましい存在である。今日の演奏会は、みんなでアイディアを出し合ったとは言え、やはりこの方の企画力・構成力、そして指揮、進行と、見事な手腕に負うところ、極めて大と見た。

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全部で38曲というのに、我が目を疑った。もちろん2、3部はメドレー形式でどんどん進行するのだが、それぞれに様々工夫が凝らされていて、笑いと感動(実際、不覚にも三度ほどウルウルしてしまった)で場内はたっぷり包まれた。なまじのプロの合唱団も顔負けの演奏会だった。

また一部の宗教曲主体の演奏はじっくりとホール全体を包み込む優しさに溢れ、とりわけ「ラシーヌ雅歌」では、過去この団に所属していた人たちも皆舞台に上がり、それは素晴らしいハーモニーを奏で、これは、もう是非とも我が団でもレパートリーに加えたいと思った次第。

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曲目毎の解説を時代の流れと共に、田中氏が何も見ずにさりげなくするのだが、長すぎず、端折らず、心地よいリズムで、その巧みさには脱帽である。

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この後も続くが、省略。

#17

東京音大卒業演奏会へ

170428 西洋美術館でのトークショーとシャセリオー展の鑑賞を終えたのが、7時過ぎ。そう言えば、同じ合唱団のソプラノさんが出身校のこの演奏会に行くと言っていたのを思い出し、本人に連絡したらなんと自宅に!でも、せっかく目の前の東京文化会館小ホールで開演中だし、しかもタダ!それほど疲れてもいなかったので、入館したら、これがほぼ満員。やっと席を見つけ、5番目のホルン演奏から聞くことができた。

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さすが音大の卒演ともなると、なるほどレベルが違うわい!みなさん、大した力量の持ち主ばかり!このホルンも、高音から超低音まで、目まぐるしい展開の難曲を見事に吹きこなしていた。

次のソプラノ、大いに楽しみにしていた。大好きなトロバトーレからの有名なアリアだ。冒頭、さすがに硬さが見られたが、後半の一気に早くなるカヴァレッタは、調子が出てきて、結構聞かせた。高音部はいいのだが、むしろ中音部の滑らかさに不安が。尤も、こちらは何十年も前に、当時世界最高のソプラノ、アントニエッタ・ステッラの生演奏をリハ、ゲネ、本番と何度も聞いていたので、無意識に比較しちゃうんだねぇ。

次のオーボエがまた凄かった!このまますぐプロに転向可能レベル。これもあらゆる技巧を惜しみなく披露するようなタイプの曲に、完璧に対応していた。いやはや、恐れいりやのなんとかだ。ただ、出てくるときに、リードを口にくわえ、そのまま挨拶するってーのは、いかがなもんかな。多分、ギリギリまでリードの滑らかさを保とうとしてるんだろうけど。

トロンボーンも確かな音色だし、小刻みなスライディングも見事だった。

ピアノ、うまいんだろうけど、よく分からない。

トリのヴァイオリン、重音ばかりの連続技という、いやらしい曲だけど、心地よく響かせていたのは立派。ほぼプロ級。

オーボエとヴァイオリン奏者の名前だけは覚えていよう。

#16

シャセリオー展「山田五郎スペシャルトークショー」@国立西洋美術館

170428

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気になりながら、まだ見に行く機会がなかった「シャセリオー展」、このほどタイムリーにも展覧会のPR会社からブロガー対象のトークショーの案内が。今回は即応募したので、招待されることになった。

山田五郎は、普段からラジオ番組やテレビのコメンテーター、美術番組で頻繁に聞く(見る)機会の多い人物。博覧強記の権化のような人物で、本職はなんだかよく分からない。一応、美術評論家が本職で、検索すると、肩書きにはタレント、コラムニスト、元講談社編集長となっている。

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まずは、新古典主義ロマン主義の対比を、図を投影して当時の時代背景などを描写しながら、克明に解説。実に分かりやすいし、随所に彼一流の表現を織り混ぜるので、場内、笑いがあちこちから漏れる。ご本人は笑わしているつもりはないようだが、何気ない表現がいちいち可笑しいのだ。隣席の若い女性は、体を揺すってほぼ笑いっぱなし。

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内容の一部を紹介すると・・・・、

ロマン主義については、ロマンという言葉の持つ意味から説き起こす。ラテン語の変遷と、その後に現れるロマンス語。吟遊詩人。ロマンス語の語感、響。ラテン語vs.ロマンス語は文語vs.口語のような対比。前者が政治・経済を語るとすれば、後者は俗世を語る。

絵画のスポンサーの交代。二つの革命がもたらした変化。フランス革命に代表される市民革命と、産業革命。写真技術の出現で、画家にとって死活問題に。

少し戻して、前者は、ドミニク・アングルが代表する神話・歴史の世界のみを題材に選んだのに対して、ウージェーヌ・ドラクロワに代表される後者は、より現実の世界を題材にする。アカデミズムに対して、ジャーナリズム、エキソチシズム。後者を「19世紀の全共闘」とは、いかにも氏らしい表現で笑ってしまう。

アングルに見出されたシャセリオーは、順調に頭角を表すが、途中から新古典主義と袂を別つ。むしろドラクロワに近ずく。そして、モローに彼の理想が引き継がれ、マネーを経て、印象派という流れ。

他にも興味深い話、満載だったが、わずか1時間なので、もっともっと聞きたいという余韻を聴衆に残し、大喝采の中、会場を後にした。

その後、金曜日は午後8時まで開いているので、今知らされたばかりの内容を念頭に、改めて再入場し、主要作品のみ、じっくりと確認しながら鑑賞を楽しめた。

ちなみに展示作品は103点に及ぶが、シャセリオーの油彩画に限れば、50点強。他に彼と関係の深かったドミニク・アングル、ウジェーヌ・ドラクロワ、ピュヴィ・ドゥ・シャヴァンヌ、ギュスターブ・モローオディロン・ルドン、アーギュスト・ルノワールなども展示されており、これだけ集中的にシャセリオーとその関連作品が一堂に見られることは、フランス本国でもまずないというから、どれだけ本展が必見の展覧会であることかが窺える。

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左は入口付近にある自画像。彼は出身がカリビアンであり、どこかにクレオールの血が流れていることを生涯、気にしていたという。自画像にも多少その雰囲気が感じられる。

右側はポーランド生れながら、ウクライナコサックの伝説的英雄イヴァン・マゼッパ(最後は裸のまま、馬にくくりつけられて追放された)を描いた一枚。これにインスパイアされた文豪(ヴィクトル・ユゴーなど)や作曲家(フランツ・リストなど)も少なくない。

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左は代表作の一点。気品溢れる作品で、悪いけど、アングルの俗っぽさより断然光る。右はギュスタブ・モローに大きな影響を与えた作品。

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この作品にはアカデミズムの影響が色濃く感じられる。

館内の写真は3枚とも、展覧会主催者から提供された公式写真です。また画像は、国立西洋美術館公式ホームページからお借りしたものです。

展覧会の概要は:

シャセリオー展 「19世紀フランス・ロマン主義の異才」
会期:2017年2月28日(火)から5月28日(日)
会場:国立西洋美術館

 

 

二子玉川での昼食会、その後、国立西洋美術館へ

170428 元の職場の先輩方に誘われて、玉川高島屋SC南館10階にある「鎌倉山」へ。ここはローストビーフの店。そう言えば、ローストビーフを食べるのは随分久しぶりだ。

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最近は、滅多に撮らないのに、あまり美味しそうなので、つい。

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味も量も程よい加減でした!

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こんな眺望も楽しめる。感じの良い店だった。ぜひまた来たい。

その後、同じ建物の下の方にあるFORTNUM & MASONへ行き、ダージリンなどをゆったりと味わい、頃合いを見て、上野まで。今日は夕方、山田五郎トークショーがあるので、それまで会場である国立西洋美術館の常設展でも見る算段。

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新規購入が3点ほど。これもそのうちの一点だが、結構資金が潤沢なんだろうか。

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これはフェルメールに帰属となったままの「聖プラクセデス」。絵の具を調べたところ、フェルメールの他の作品とほぼ一致というところから、帰属とされているが、作品的には、まったくフェルメールらしくない。

現在、この企画展を常設館でやっており、おかげでいつも見ている作品が一部は貸し出し、一部は倉庫へと。

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Skagenは現地語読みでは、スカーイェンとなるらしい。デンマークの北端で、スェーデンのイェテボリに向かって突き出た岬。

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なんとなくモネを思わせる色調と構図だ。ペーダー・セヴェリン・クロヤー《ばら》
1893年 油彩、カンヴァス スケーエン美術館©The Art Museums of Skagen

海辺、それも北海というから暗くて寒いところだろう。そういう土地で暮らす人々の素朴な日常を捉えた作品が展示されていた。

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出口近くの大部屋のモネ「睡蓮」。毎回見ているのだが、よくよく見れば、すごい数の連作の中でも、結構良い作品である。

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出口寸前の展示、好きな一点。ラウル・デュフィの「モーツァルト

5時15分になったので、「テオドール・シャセリオー」展のトークショー会場へ急ぐ。

 

a la carte!! Vol.9 「フィガロの結婚 あるいは狂おしき半日」

170427 たまたま会場が歩いて行けるところでもあり、第1回からずーっと見に行っているシリーズ。9回目は、出演者が人気歌手ばかり6人ズラリという豪華版!さすが吉田貴至(たかゆき)のプロデュースは堂に入っている。

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チラシも年々立派になっているようで、今後、人気のシリーズに成長していくのは間違いない。ということもあり、なんと今回は、昼夜2回公演というから大したもの。昼の部は満員御礼だったが、多分、夜の部も同様だろう。

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演出は、このシリーズをなんども手がけている名手、太田麻衣子。笑いのツボはまず外さない。実力者を並べて、これだけ笑いを取る手法は見事としか言いようがない。受けて立つ出演者の演技の巧さがまたたまらない。今回は、涙が出るほど笑わせてもらった。

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こう演目を並べると、なんか普通のコンサート風なのだが、実際は、特に第1部は、出だしから笑いの渦で、盛り上がった。個人的にはヴェテラン、塩田美奈子の歌唱と演技には、ついはまってしまった。またミニスカがよく似合って、日頃から相当シェイプアップに努めているのだろう。立派なものだ!

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最後に演出の太田麻衣子が紹介される。シャッターチャンスが拙く、下を向いてしまった。

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伯爵夫人の塩田美奈子とスザンナの川口塔子。お二人ともコスチュームがピタッと決まっている。

 

#15 (文中敬称略)