ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

マン・レイ展

国立新美術館で開催中のこの展覧会に出かけた。目も眩むような暑さの中、ひんやりした館内はさすがに心地よい。マン・レイ展(←詳細)の会場内は冷房が効きすぎて寒いぐらい。もう少し空調を上手くやって欲しい。
f:id:niba-036:20100723095842j:image:left黒と白」と題する作品とその反転版。1926年当時、モンパルナス地区での売れっ子モデル、Kiki de Montparnasseがモデル。彼女はスーチンフジタのモデルとしても既に有名で、フジタよりきれいに撮ってやるから、という口説き方をしたと先日のテレビ東京の番組で解説があった。

マン・レイという人を食ったような名前は、Emanuel Radnitzkyという本名から閃いたらしい。苗字から分かるようにロシア方面出身。ユダヤ系ロシア人とか。



f:id:niba-036:20100723102005j:image:leftフィラデルフィア生まれで、ニューヨーク時代に絵描きを志すものの、さっぱり芽が出ず、当時売り出したばかりの最新式カメラで、生計を立て始める。当初はしょうもないものばかり撮影していたようだが、偶然から認められていったようだ。世の中、何が起こるか分からない。諦めてはダメだ。

どうも子供の頃から手先だけは滅法器用だったらしく、工作まがいの、様々な当時の小品が展示されている。展示総数が400点を超えるのは、そうした小さなものも含めてのこと。写真やデッサンなども5cmX5cmぐらいのものも大きな額に入れての展示だから場所を取る。

NY時代に既にマルセル・デュシャンの影響を受け、後の彼独特の世界への萌芽が見られる。凡そ美術と無縁と思われるアイテムをベースにした意表を突く作品が徐々に目立ち始めるが、本人は最後まで画家としてのこだわりがあったとか。

ニューヨーク、パリ、ロサンゼルス、そして再びパリと20年、20年、10年、25年とそれぞれ時代ごとに区分けしての展示法は単純明快。
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←セレブな映画俳優や歌手たちも盛んにポートレートに収めた。これは若き日のジュリエット・グレコ。とても小さな作品だが、当時、まだ出回り始めたばかりのカラーである。