ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「リンカーン」

130429 LINCOLN  150分とかなり長い。憲法修正第13条(奴隷制撤廃)成立に向け、必死のリンカーンを丁寧に描写している。既に山のように死者が出ている南北戦争を一刻も早く終わらせるのも大事だが、何としてもその前にこの条約を成立させる必要があり、まさに時間との戦いで、苦悶する。非協力的な議会相手に必死で多数派工作を泥臭く仕掛けたり、口うるさい妻と激しくののしり合うなど、リンカーンを等身大で描いている点が最も評価できる。

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⬆本物を見た訳ではないが、写真その他で親しんでいるリンカーンそのものではないか。この作品は、デイ=ルイス抜きでは出来なかった。スピルバーグはそれを認めている。

 

尤も、前半は議会内の取引きややりとりのシーンが続くので少々疲れるが、後半はにわかに緊迫して、目が離せない。

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⬆首尾よくメアリー・トッド役を射止めたサリー・フィールドの演技も凄みが感じられる。彼女、この役のために13kgも体重を増やしたとか。

3度目の主演男優賞獲得のデイ=ルイスは当然として、妻役のサリー・フィールド(実際の役より20歳年上で、しかもデイ=ルイスより10歳年長なので、スピルバーグは使いたくなかったようだが、フィールドはどうしてもこの役を射止めようと、無理矢理オーディションを受けさせてもらったとか。しかもデイ=ルイスにもはるばるアイルランドから来てもらって、というから、彼女の入れ込みぶりが想像できる)、それにタデウス・スティーブンス役のトミー・リー・ジョーンズの演技も断然光っている。

 

#30 画像はALLCINEMA on lineから