131003 今回は同館所蔵の名品から19世紀末の名品を一挙公開という、なかなか見逃せない企画のブロガー特別内覧会に参加。
持っているものですねぇ〜。ま、相当な作品を所蔵しているとは分かっていたけど、いざ目の当たりにすると、クラクラするほどの名品ぞろい。それを限られた時間とは言え、自由に見られてしかも写真まで撮れるのだから、こんなありがたい企画はない。
更に、同館の選任キュレイターが解説まで事細かにしてくれるのだから、美術愛好家には堪えられませんね。この後も続々と興味深い企画展が行われるようで、当分、ここから目が離せないようだ。⬇
いつものような座れるセッティングがなく、参加者は立ったまま冒頭30分ほど、館長から挨拶と本展覧会の概要説明を伺った。30分だから、確かに立ったままでもOK。
高橋館長(中央)、安井主任学芸員(左)、そして「青い日記帳」でお馴染みのTAKこと中村剛士さん(右)。フラッシュ焚けないから、こんな有様。
後ろの暖炉の上にある絵がこれ。エドガー・ドガ作 ラファエロによる「アテネの学園」の模写。
主任学芸員の安井さん、話の面白い人で、話し始めると止まらないらしく、たびたび自らを制御していたが、アッという間に予定の30分を経過してしまい、そこからは、途中まで安井さんと中村さんの解説入りで鑑賞することに。素人には窺い知ることの出来ない裏話も含めて、とにかく楽しい解説で、自由鑑賞になっても安井さんの回りには人垣が耐えることがなかった。
入口付近の第1章には印象派の油彩画が9点展示されていて、これらが多分一番人気だろう。
ピサロ 「窓から見たエラニーの通り、ナナカマドの木」
ピサロ 「エラニーのロックおばさんの農園」
シスレー 「ルブシエンヌの一隅」
モネ 「草原の夕暮れ、ジヴェルニー」
ルノワール 「長い髪をした若い娘」
ルノワール 「麦藁帽子の女性」
第5章には版画家ヴァロットン面目躍如の世界
「可愛い天使たち」白と黒の世界でもしっかり子供達の表情が生き生きと捉えられている。
「女の子たち」この豊かな表情を見よ!中央の娘は白目!?観察眼と表現力には驚嘆あるのみ。
「動揺」
「信頼する人」
「二十歳に・・・」
「難局」
とまぁ、こういう具合で、実にシャープで強く印象に残る画風(?)。18x22cmぐらいなので、近くでじっくり見たい。
ヴァロットンは他にもリトでアカデミー会員の似顔絵をカリカチュア風に描いている。
アレクサンドル・デュマ・フィス(左)とジャン・リシュパン
アルフォンス・ドーデ(左)とピエール・ロティ
第8章は「画商ヴォラールと画家たち 出版事業を中心に」
⬆はモーリス・ドニの「アムール(愛)」の表紙
ピエール・ボナールによる「パリ生活の小景」の表紙
第4章「レスタンプ・オリジナル」から珍しいファンタン・ラ・トゥールのリト「聖アントニウスの誘惑」
第3章は「トゥールーズ・ロートレックと仲間たち」ということで、お馴染みの石版画がずらりと並ぶコーナーがなかなか楽しい。
メイ・ベルフォールとメイ・ミルトンが対で展示。
これまたお馴染みのアリスティッド・ブリュアン、色違いのポスター。この歌手というか芸人を泉谷しげると例えた安井学芸員、さすがに慧眼。
「レスタンプ・オリジナル」第1年次のための表紙
⬆こちらが最終号の表紙
シャルル・モラン描くところのトゥールーズ・ロートレックの肖像(エッチング、アクアチント、紙)
最後を飾る大作(248x163cm)はルドンの「グラン・ブーケ」。キャンバスにパステルだから、驚く。パステルというのは、ちょっとした振動や移動時の向きで表面が簡単に落剥するらしいから、搬入作業にどれだけ神経を用いたか、ここでも安井氏の話に、アチコチで笑が。
上の画像は主催者の特別な許可をいただいて撮影したものです。