131218 原題:20 FEET FROM STARDOM 本作の主人公たちは、自分も含めて一般的日本人にはほぼ無名の存在だ。そうした、いわゆる裏方に徹した歌手たちを見事な視点から取り上げた感動作。[出]ダーレン・ラブ、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、タタ・ヴェガ、クラウディア・リニア、ジュディス・ヒル
彼女たちはどれだけ歌唱力があろうと、本来目指している筈の主役の座を射止められる歌手たちはほんの一握り。運もあるし、アピール力やプロデューサーなど、協力者の存在が大きい。中にはいったんそれをつかみかかりながら、結局元のバックコーラスの一員に戻る者も珍しくないようだ。
そんな普段窺い知ることの出来ない影の主役たちを取り上げ、彼女等の来し方,行く末、光と影を見事に浮き彫りにした作品と言える。
共演したセレブ歌手たちの映像が凄い。レイ・チャールス、スティーヴィー・ワンダー、トム・ジョーンズ、ビートルズ、マイケル・ジャクソン、スティング・・・
それにしても、黒人の持つ生まれながらの音感、リズム感、パワーに圧倒されっ放しの90分。何十年振りに会って、いきなりパッとハモれちゃうのが、なんとも凄いし、羨ましい!
ところで、再び原題と邦題の違いのこと。例えば本作、原題は直訳すれば「スターダムから20フィート」ということで、ほんの僅かな差でスターの座を射止められない歌手たちの、悔しさやもどかしさを表している見事なタイトルになっている。
ところが、日本では、なんとしてでも、より具体的に中身が分かるタイトルにしないと観客動員ができないと思ってか、往々にして原題とは全く異なるタイトルにして、せっかく原題が持つ「含み」が伝わらないケースが多い。ちょっともったいないし、なにより原題にもう少し敬意を払って欲しい。
#107 画像はALLCINEMA on lineから