140606 原題もTHE GRAND BUDAPEST HOTEL 英独合作 100分、 製作・原案・脚本・監督:ウェス・アンダーソン
架空の国の話。伝説の豪華ホテルの常連客である大富豪D夫人(ティルダ・スィントン)の遺産相続がらみの事件が、一見童話のような幻想的な舞台上で豪華俳優陣によって繰り広げられる。
ある作家(トム・ウィルキンソン)が語りべ役。35年前に遡って登場する若き日の自分(ジュード・ロー)が、宿泊中のグランド・ブダペスト・ホテルで見習いのベル・ボーイから叩き上げのミスター・ゼロ・ムスターファ(F・マーレイ・エイブラハム)に会い、更に遡って話を聞き出して行くという展開。時代が3層に分かれているところと、やたらに登場人物が多いので、多少分かりづらいところも。
伝説のコンシエルジュ、グスターブ(レイフ・ファインズ)の下で、叩き上げたゼロは、グスターブの言うことには何でも従うほどの恩義を感じている。ある日、グスターブを大のお気に入りにしている老婦人(ティルダ・スィントン、この⬆メイクが凄い!)が自分の豪邸で亡くなる。さっそくゼロをお供に弔問に駆けつけるグスターブ。
時あたかも遺産分けの真っ最中。あろうことか遺産の中で、最も高価な名画をグスターブに贈ると遺言にあったからさぁ大変。その場に集合していた一族郎党が大騒ぎに。名画を早く持ち帰らないとと慌てるグスターブとゼロ。追いつ追われつの遁走劇。途中、開戦直後の国境で軍に見つかりそうになったり、すったもんだの挙げ句に・・・。
かなりドタバタ要素も織り込みながら、飽きさせない展開が素晴らしい。ほんの端役にも豪華な演技陣をよくぞそろえたものと、呆れるばかりだ。マチュー・アマルリックやレア・セドゥー、サーシャ・ローナン⬆、ビル・マーレイ、ハーヴェイ・カイテルなども、ほんの僅かな時間しか登場しないという贅沢ぶり。
このところ、立て続けに見ているF・マーレイ・エイブラハム、例の「アマデウス」の中で演じたサリエリの演技を彷彿とさせるセリフ回しが何カ所が出て来るが、これって、意図的な、ある種オマージュなんだろうか。”No, I did’t. “なんて、話し方で思わずアマデウスの場面を想像してしまった。
2度時代が遡った部分は画面サイズがいつの間にか標準サイズになっていて、終盤、また元の大画面に戻すあたり、うまい仕掛けだ。いやぁ~、楽しい映画だった!
#47 画面はALLCINEMA on lineから。