170711 今日はブロガー対象の内覧会に招待され、三菱一号館美術館へ。午後6時から受付開始なので、しばらく近くでスタンバイ。
手前の植物が絡まるタワーからミストが吹き出てきて、気持ちが良い。
ルネサンス期、無数の偉大な芸術家が登場したが、中でも聳え立つ2大天才は、間違いなくこの二人だろう。今度の企画展は、この二人だけにスポットを当てるという、大英断!と言っても、彼らの著名な作品がずらりと並ぶというわけではなく、彼らの作品はどれもほぼ門外不出揃いだから、そもそもそれは無理な相談。
ということで、素描や手稿が中心になったのはやむを得ぬところ。それでも、それでもだ、《十字架を持つ(ジュスティニアーニのキリスト)》が間近に見られたのは、なんという僥倖だろう。しかも、この日から公開というから、実にラッキーであった。
いつもは大きめの作品が並ぶこの一角だが、今日は割にこざっぱりした風情だ。
6時半からレクチャー開始。今日の担当学芸員は若手の岩瀬 慧(けん)さん。手前はお馴染みのナビゲーター、Takさん。奥は高橋館長。舞台裏の話など含め、貴重なお話を伺うことができた。
そしていよいよ超目玉、「十字架を持つキリスト」を見に、ぞろぞろ全員で1階へ降りる。そして・・・まずは見ていただこう。
上の説明にあるローマにある像とは、市内のサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会にあるこの像。
十字架を入れれば2m50, キリスト像だけでも2mを少し超える大作。制作年代は1514-1516と、40歳前後ということになる。これだけの作品だが、上の顔のクローズアップにも明らかなように掘り進んでいる最中に、白の大理石に黒い筋が現れたため、その後の制作を放棄したそうだ。後世、別の彫刻家が鑿を打ったようだが、それが誰かは不明。あのジャン=ロレンツォ・ベルニーニとする説もあるそうだ。どこまでがミケランジェロ本人の鑿で、どこからが別人のものかは推定するしかないそうだが、捕縛縄を持つ右手部分は明らかに別人のものとされている。なにやら、途中から弟子が作曲を続けたモーツァルトのレクイエムの話のようで、実に興味深い。
ローマ近郊、ヴィテルボ県のバッサーノ・ロマーノという村の修道院、Monastero San Vincenzoにあったために、世紀の大発見は1997年と、つい最近のこと。
ともあれ、数奇な運命を辿ったこの一点を見るためだけでも、遠くからここへ来る価値は十分あると思う。
さて、書きながらも興奮冷めやらぬが、他の展示にも少し触れておこう。
ウッフィーツィ所蔵のこの有名な作品の模写だが、作者は不明だが、明らかにレオナルドが生きている時代に、この作品(ルーブル所蔵)を直接見ながら描いた模写とされている。聖アンナはよく似ているが、聖母の顔はちょっと違うかなぁーという感じだ。
これは、作者不詳ながら、素晴らしい作品である。レオナルドがなんらかの形で絡んでいたとされるほどだから、専門家でもレオナルド自身の作品と判定しかねない。
なお、掲載した写真は、主催者から特別な許可をいただいて、撮影したものです。
本展覧会は9月24日まで。月曜休館。当日券は一般が1700円。芸術愛好家、必見!!!