170822 原題:ANTHROPOID (類人猿)チェコ・仏・英合作 120分 製作・脚本・撮影・監督:ショーン・エリス(47歳、英国)
この時代(1942年)前後のナチが絡む作品はどうしても見たくなる。よくできた作品だけに、関東地方1館上映は実にもったいない。
第二次大戦下のチェコスロヴァキアを舞台にした実話だそうだ。ロンドンに本部を置くチェコスロヴァキアの亡命政府の密命を帯びて、落下傘でプラハ近郊に降り立つ6名。ナチ三番目の実力者、ラインハルト・ハイドリッヒ暗殺計画、アンスロポイド作戦始動の瞬間だ。
現地の仲間と連絡を取り合うと、この計画を実行に移したら、ナチはプラハを壊滅させるぐらいの報復に出るからと、取り合わない。しかし、本部の指令ならと、結局は認めざるを得なくなる。
周到な計画を立てたつもりだったのに、なんと弾が出ないって、アンタ、そりゃないぜよ。仲間が投げた手榴弾は見事に車を大破するが、致命傷には至らず、逆に撃ち返され、あわやというところで、逃げ延びる。作戦失敗!と思ったら、結局病院でハイドリッヒの死亡が確認されたと公表される。
さあ、そこからどうするか。もどかしいのは、事後の計画が実に杜撰ということだ。ナチの報復が当然予想されながら、犠牲者がどんどん出始めると6人に動揺が走るって、そんなこと計算済みじゃなかったのかよ、オイオイ!
ま、結局、大聖堂に逃げ込んだものの、文字通り袋の鼠。ほぼ予想通りの結末となるが、大聖堂での戦闘シーンの凄まじさはかなりの見せ場になっているが、どうも消化不良感は否めない。
エンドロールの字幕で、⬆︎ハイドリッヒ一人の命に対する報復で殺された市民は5,000人というから言葉を失う。それだけの犠牲者出してまでの価値、あったんだろうか、いささか疑問に思ってしまう。ハイドリッヒが死んだことで、連合軍、ないしチェコスロヴァキアにとって、有利な展開になったのか、検証して欲しいところだ。
全体にセピア色っぽい彩度で、時代感たっぷり。監督自らがカメラを回すという、なんでも自分でやりたがる人のようだが、このカメラワークがまた冴えていること!!
これ、撮影風景だけど、盾みたいなもの持ってるって〜ことは、何かが飛び散るんだろうか。
蛇足ながら、この邦題は上手い方だろう。原題のままでは、なんのことやら。ただ、「・・・撃て」で止めておけばいいのに、余計な副題をくっつけたのは失敗だろう。そこまで説明を加える必要はないし、きりがない。
#54 画像はIMDbから