ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ナヴァラの娘」+「道化師」@東京文化会館

180128 体調の悪い中、上野へ。なにせ高額チケットだから、なんとしてでもこの公演には行きたかった。日本初演ということもあるし、応援している西本真子の藤原デビューでもあるからだ。

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この「ナヴァラの娘」という作品については、まったく無知で、解説をいろいろ呼んで、なるほど、そういう作品なんだなという程度の理解。体調が悪いところへ、薬を飲んでいるから、昨日まで出っ放しだった咳はなんとか収まったものの、今度は睡魔がなんども忍び寄って、おちおち鑑賞してられなかったのは残念至極!そんなわけで、この作品、感想を語る資格なし!

西本真子はたった50分という超短いオペラにしては、出演シーンが多かったのは、タイトルロールだからまあ当然なのだが、結構インパクトのある歌唱で、脇をずっしりした男声陣に囲まれながら、一人健気に気を吐いていたという印象。

19世紀末、舞台はスペイン北部のバスク州ビルバオの郊外という設定か。ナヴァラはすぐ東にある州で、さらに東側がアラゴン州。劇中、「ホタのリズムを思い出す」とか言うセリフがあるから、アラゴン出身の兵士たちが故郷を懐かしんでのことか。ともあれ、むくつけき兵士ばかりの中に、小柄なだけに余計可憐な姿と堂々たる演唱がとりわけ印象に残る。

ただ、初演のオペラを一度聞いて、よさがどの程度理解できているかは我ながら疑わしい。今回もまた安い席でもいいから、両組を聴くべきと改めてつくづく思った。

「道化師」は華麗なキャスティングで、堪能し尽くした。今日の藤田卓也はまた一段とギアが入って、すばらしいカニオで言うことなし。それは他のキャストも同様で、須藤慎吾にしては、すこしばかり上品な役所であるかも知れないが、見事なトニオになっていたし、ネッダ役の佐藤康子も自分でも会心の出来栄えと思っていたようで、終演後のしぐさを見ていてそれを確信した。

澤崎一了は余裕のペッペだし、新国立オペ研10期生の岡 昭弘のシルヴィオは上品すぎるような気がしたが、うぶで新鮮な感じがよかった。

今回はわざわざニュープロダクションと銘打っていて、イタリア人の演出家を起用、また美術・衣装デザインなども、イタリア人が名を連ねていて、なるほど、こりゃ金がかかったわけだと知った次第。

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#8 文中敬称略