180921
この劇場、はるか昔に一度来たことがあるらしい(カミさんの話)だが、まったく記憶にない。そもそもオペラが上演できる劇場なのか半信半疑で会場入り。まあギリギリというところかな。天井が低いのはデパートの中だから仕方ないのだが、やはり音響がどうも気に入らない。内装など、かなり時代がかった、凝った代物で、それなりに工夫された老舗劇場風ではあるが、古典芸能やお笑い向きであることは否めない。
上手にピアノ、ヴァイオリン、チェロという極小編成の楽団が配置されている。舞台はここがシチリアという雰囲気をかなり上手く出せていたと思うが、要するに背景の大パネルにシチリアらしい風景が描かれていて、下手側に聖母像が鎮座している。開演前の曲目解説、丁寧なのはよいが、もう少し短めに願いたい。
のっけにトゥリッドゥがアリアを歌い終わるや、恋敵のアルフィオが現れいきなりナイフでの決闘シーンとなり、あえなくトゥリッドゥは刺されてしまう。なるほど最後の、舞台外でのシーンをここで先に出すというのは、結構斬新な演出で、悪くない。
トゥリッドゥの青栁素晴、アルフィオの大沼 徹、共に極めて練達の歌い手だから、ここで何もコメントするつもりはない。不思議なことに、大沼はこのヴェリズモオペラの典型とも言える作品で、青栁以外のトゥリッドゥと組んだことがないと聞いた。相性がよほどいいのか、単なる偶然か。
初めて聴くサントゥッツァの野間 愛(メゾだが伸びのある高音の魅力)、ローラの徳山奈奈(日本人離れした色の白さ!)ルチアの矢口智恵(低音の凄み)、三者三様にうまいのに驚く。これから注目しようと決めた。
合唱隊、男5人、女7人という小規模ながら、よく響くのは個人個人のレベルがすこぶる高いのだろう。(村田耕太郎はつい先日、アドリアーナでも聞いたばかり)
たった三つの楽器ながら、間奏曲なども含め歌組とまったく聴き劣りすることのない演奏ぶり、ブラーヴィ!である。編曲もうまかったしね。
終演後、楽屋を訪れようか迷っていたら、歌手たちがぞろぞろロビーにお出ましになったので、さっそくパチリパチリといつものように。
おつかれさんでした!終演後だし、このように二人とも実に晴れやかな表情だ!
#59 文中敬称略
劇場に来る前に、別のフロアで開催されていた日本工芸展をすこしばかり覗いたが、以前にも数度来ているが、ため息しかでない逸品揃いで、今更ながら日本の高い工芸技術には恐れ入る。
今日は雨の中、午前中から出動、美術展内覧会、映画鑑賞、そしてオペラ鑑賞と、初の3本建てで疲労困憊!帰宅後のビールのうまさはまた格別だった!