ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

初めて「ラ・フォル・ジュルネ」@国際フォーラムへ

190505 以前から興味は持ちつつも、人混みが嫌で、一度も会場に脚を運んだことはなかったが、初めて今年は行く気になった。それがソプラノ浪川佳代の出る「ラ・トラヴィアータ」。

ラ・フォル・ジュルネ(LFJ)とは、そもそもフランス西部、ナント(「ナントの勅令」で知られる小都市)で誕生したのは、もう四半世紀前となる1995年。限られた期間内に内外の音楽家(主にクラシック)を集めて、朝から晩までぎっしりと小型プログラムを組み、低廉な入場料で広く音楽ファンに提供しようというのが基本コンセプト。

評判を呼び、今では日本を含む海外の諸都市でも開催されているらしい。日本では2005年から国際フォーラムを主会場にして毎年この時期に開催されているビッグイベント。

熱狂の日」という意味は知っていたが、実は、もうちょっと深い意味合いがこの命名にはあるらしい。

解説によれば、インスピレーションを受けたのがボーマルシェの戯曲「ラ・フォル・ジュルネ熱狂の日)、あるいはフィガロの結婚」。1784年に発表され、モーツァルトもオペラの元にしたこの戯曲は、当時の価値観を覆す革命的なものでフランス革命の導火線になったとも。 「ラ・フォル・ジュルネ」というタイトルこそ、まさに当企画の立案者ルネ・マルタンの夢、すなわち人々をクラシック音楽から阻もうとする様々なバリアを取り去りたいという思いにぴったりの言葉だった。

ちなみに第1回ラ・フォル・ジュルネのポスターは、モーツァルトが鼻に親指をつけて指を広げた、ヒトを小馬鹿にした仕草のシルエット。常識を覆そうとしていた、破天荒なモーツァルトのイメージというわけ。また、首都パリでなく、地方都市で産声を上げたというのも興味深い。

さて、無料公演のラ・トラヴィアータ、3月の「復活」でお世話になった浪川がでるとあって、前々から行くつもりであった。彼女はこの春、忙しい合間を縫って、丸の内シンガーズのメンバーとナントまで出かけて歌ってきている。今回はフローラ役での登場。

この人、以前から音楽プラザ銀座ライオンでなんどか聞いているし、このシリーズで「メリー・ウィドウ」も見ている。大柄な方だが、なんともキュートな幼顔のアンバランスが魅力の一つか。

この会場で無料で見るには条件があって、どれか有料のチケットを持っていること。過去は、丸の内オアゾのロビーで立ち見だったが、さすがに老いた身には堪える。たまたまこの上演の後のプログラムにホールAの演目があったんで、それを買っておいた。初めてスマホによる電子チケットをゲット。チケットはラインで送られてきて、指定の画面にすると入場時にスタッフが電子スタンプを押すという仕組み。

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ラ・トラヴィアータのスタッフ・キャスト



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開演1時間前に行ったら、すでに正面の席は満杯。右側セクション7列目に席を確保。

あとで聴いたら、正面のいい席にいるのは、前の演目からずーっとい続けている人がほとんど。来年からはそうしよう。

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タイトルロールは、めきめき売り出し中の高品綾野。名前の通り、どこか品がある。

望遠にしたら、こんな風に粒子が粗くなるが、まあ仕方ない。全部で50分という短縮版。⬆︎これはソプラノの聴かせどころ「花から花へ」の場面。最後の音はEsを無難に回避。最近、増えているが、やはりどうしても最高音を期待しちゃうのはどうしようもない。

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アルフレード直野 資のご子息、直野良平が演じたが、体調がイマイチだったか、やや不発。脇で心配そうに見る父親の顔が印象的。⬆︎衆人環視下で、アルフレードヴィオレッタを罵倒して周囲からなじられる場面。

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♪ Di Madrid noi siam mattadori ♪男声合唱隊の聴かせどころ

おお振りの赤いバラを先端に付けて、これを闘牛士の剣のように牛につきたてるような振りが面白かった。

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カーテンコール。右側でスカーフをしているのが直野 資。

大きな聴かせどころでもあるジェルモンが歌う「プロバンスの陸と海」をレジェンド、直野 資が渾身の歌唱で場内を沸かせたが、いかんせん現在74!♪ Ma, ma se alfin ti trovoの高音がぶら下がり気味で、聴いていて、ちょっと辛い。

ソリストはマイクをつけてうたっていたようで、どうもやはり違和感が残る音声だったが、こういう会場では防ぎようがないのだろう。

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ソリスト、合唱団員、オケメンバーとフォアイエで記念撮影

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公式カメラマンがどうやら上階から撮影しているらしく、全員こういう目線に。

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エストロ、コンミス、演出家を交えての撮影。
どちらさんもおつかれさまぁ〜!!

#24 文中敬称略