ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

旧友を見舞う

221119  9月に自室で転倒し、救急病院に搬送された大の親友、I君が数日前に元の居室に戻ってきました。麻布十番にある介護付き高齢者施設です。

搬送先のT病院の扱いが悪く、早く出たいと出たいと本人から聞いており、早期退院を楽しみにしていたのが暗転。本人が主治医と退院日の手続きをしている最中に、呂律が回っていないことに気づいた主治医が急遽、5時間に及ぶ開頭手術をしたのですが、それがそもそも失敗だったと想像する他ない結果になりました。

ほとんど意識のない状態のまま、経鼻栄養補給で1ヶ月半、病院側はこれ以上の治療を放棄・断念、施設側と交渉して戻したのです。ところが、病院では意識が戻らないと診断していたのに、施設に戻り、従前の若々しいスタッフたちに迎えられると、口は相変わらずきけないものの、目を開き、言われたことはほぼ理解している様子であると、先に見舞った共通の友人から知らされ、さっそく昨日、彼を訪ねました。

病院に着くと、4回目までのコロナワクチン接種証明書を見せ、また本人が黄色ブドウ球菌に感染しているからと、マスク、ビニール製グラブと防護服を着用して入室、何ヶ月ぶりかの対面となりました。

手が黒ずみ、腕も痩せ細っていましたが、顔は血色もよくそれほどの衰えは感じませんで、ホッとしました。制限時間が30分だったので、一方的にこちら側がしゃべり、目と表情でほぼ理解していると感じました。別れ際に、「ほんじゃ、また来るからさ」と言ったところ、同室のスタッフも確認したことですが、かすかな声で「た・の・し・み!」と。

高知在住の実姉の話では、施設側が引き受ける条件の一つが医療行為を一切しないとのことらしいのですが、植物人間状態ならいざ知らず、こうしてはっきりとした意識と意思のある人間を水分補給のみとする、言わば見殺し状態って、いったい許されることなんですかね。なんとかしたいと思うものの、家族でもないものが勝手に動くわけにもいかず、やはりご家族が善処を求めて動くしかないのが辛いところです。