ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

Ginza de Opera

230121 ミューザ川崎で「魔笛」を見た後、急いで銀座へ。「トスカ」の開演は2時なので、ちょっと慌しかったですが、京急で川崎から東銀座まで直行で、割と楽に行けました。演奏形式はどうあれ、午前、午後でオペラを立て続けに見た記憶がありません。

地元の合唱団の指導者でもあるピアニストが出演するというので、団からは大挙20名近くが王子ホールへ繰り出しました。銀座のど真ん中で正統派オペラがこの値段に見られるとあれば、まあ当然の反応でしょうか。

途中、15分の休憩時間を2回挟んで3時間近くかかりました。後で知ったのですが、メインキャストはあいさつにロビーへ出てきたとか。最近はコロナの影響でそうしたことは一切ないので、さっさと帰ってしまい、惜しいことをしました。こういう情報は事前に欲しいものです。

さて、なんと言っても特筆すべきはカヴァラドッシを演じたニコラ・ロッシ・ジョルダーノさんでしょう。こんなまさに国際級の本格派テノールが日本にいたとは!!第一声聴いた瞬間に、電撃に打たれたかのごとく圧倒されました。こんな声を聴いたのはいつ以来か思い出せません。もしかしたら、2019年秋のヴィットリオ・グリゴーロ以来かな?この人の圧倒的な声量は、この規模のホールではもったいない!「星は光りぬ」では、我を忘れてBravoを絶叫していました。

そして意外だったのが与那城 敬さん!この方、見るからに超真面目人間風で、顔立ちもお声も品格のある感じゆえ、超悪役スカルピアには向かないだろうと思い込んでました。そうしたら、風貌から変えて出てきました。髪をオールバックにして、目一杯悪役ヅラでねぇ。いやぁ、やるもんです。もちろん、発声もそれに合わせて実に憎々しい歌いっぷりで、プロ根性をまざまざ見せつけられました。素晴らしい!

そして伴奏陣、ピアノ、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、とスネアドラム。これだけですが、存分に雰囲気を盛り上げるのには成功していたと思います。Bravi!

小ホールで、しかも低予算ですから、舞台は簡素でしたが、ここで活躍したのがプロジェクション・マッピング!第1幕のサンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会内部、第2幕、警視総監スカルピアの書斎兼居間、第3幕、聖天使城のてっぺん(ペストを収束させたとして大天使ミカエルが剣を鞘に収めようとする巨大な大理石像がある)、いずれも見事に雰囲気を出していて、その威力を目の当たりにしました。それにしてもこの映像投影技術の進歩には目を見張ります。第2幕、遠くヴァチカンのサン・ピエトロ大寺院を臨む大きな窓の開閉まで映すのですからねぇ。

忘れ難き公演でした。またチャンスがあれば、このニコラさん、ぜひ聴いてみたいと思いました。