ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「メグレと若い女の死」@武蔵野館

230404 MAIGRET 仏 1h29m 2022 脚本(共)・監督:パトリス・ルコント(「仕立て屋の恋」'89、「列車に乗った男」'02)原作:ジョルジュ・シムノン

久々の会食の後、合唱練習まで中途半端な時間があり、これまた久しぶりに映画館に。ところが、よくあることですが、睡魔大活躍の時間帯、案の定!ということで、あまり隅々までよく覚えていません。これはもう1回観る必要がありそうです。

ジョルジュ・シムノンの原作は読んでいませんので、小説との比較ができないのは少々残念ではありますが、映画作品として見て十分堪能できると思いました。(睡魔に襲われていたとしても・・・)

展開が込み入っておらず、フラッシュバックもなく、分かりやすくできているのは好感します。主演のメグレにドゥパルデューを充てたのも大変効果的だと思います。若い頃のギラギラ感全開の彼と違って、老いをまとった彼の演技がぴったし。ジャン・ギャバンとかダニエル・オートゥーユでもよかったかもですが。

また落ち着いた寒色系の色調がパリの街並みによくあって、絶妙な雰囲気を全体に出していたのも特筆すべきでしょうか。うら若き女性が高級衣装をまとって路上に血だらけで横たわるという、かなりショッキングな場面がいきなり出ますが、その後、犯人の目星が割についてしまいます。

ですから、興味の主体はホシ探しより、メグレ警部がどういう風にホシに迫るかに焦点を当てて行くルコントの視点に関心が向きます。バックに使われている音楽の効果もあり、ヨーロッパ映画愛好家にはオススメの一作だと思いました。