181007
何度観ても、このオペラは長い!途中でかならずダレる。正味2時間40分だからねぇ。
ま、でも見るたびに新たな発見があるし、それだけ奥深いということだろう。さすがモーツァルトだ。
さて、今日の魔笛だが、伝統ある芸大プロデュースということで、オケや合唱、スタッフには芸大生、学院生、卒業生が多数当たっていたが、ソリスト陣は必ずしも芸大出身ばかりではないのが意外で、面白かった。
演出もよかったし、舞台の造作、美術、照明など、随分工夫されているという印象で、全体としては、よくバランスの取れた上演だったように思う。歌唱は独語、語りは日本語というのも、よくある方式で、ごく自然に楽しめた。両サイドに縦書きの日本語字幕をよかった。
今日のお目当は狩野賢一。期待にたがわず、見事なザラストロだった。声がすこぶる安定しており、特に最低音部の響きは今更ながら、すさまじいばかりだ。
夜女、愛宕結衣も悪くなかった。コロラトゥーラだから、当然だが、かなり軽めの音質で、正確に音を刻んでいたと思う。
パミーナを演じた渡辺智美、まったく知らなかったが、歌唱はまだまだ磨きをかける必要があるとは思うものの、たっぷり聴かせられるだけの技量はすでに持っている。それに大変チャーミングな容姿で観衆を魅了!
弁者(僧侶1)の渥美史生は多分初めて聴くが、ザラストロに負けない音量で、聞かせてくれ、十分満足。見せどころ、聞かせどころがたっぷりのパパゲーノ、田中夕也が申し分のない存在感!首吊り場面は笑わせてくれた。そういえば、上野を意識してパンダの着ぐるみが出てきたのには、思わず笑った。
それと、コスチュームだが、相当金のかかるものを用意しており、結構高めの予算が組まれていたのかな。
この劇場、過去二度、合唱で舞台に乗ったことがあるが、なかなかよくできているホールだ。バルコニー席も立派な作りだし、舞台裏や楽屋も充実している。音楽大学、それも日本を代表する藝術大学内のホールであるから、それに恥じないホールと言える。
ただ、難を言えば、ロビーが狭いことと、客席の表示が小さくて、皆、自分の席を確かめるのに苦労していた。もう少し見やすい表示に、今からでも早速改装すべきだろう。しかし、終演時にロビーの扉が全面開放され、一気に溢れ出す客がスムーズに出られるようにした設計は素晴らしい!
#63 文中敬称略