監督:齊藤潤一 昭和36年(1961年)、三重県名張市の集落、葛尾で実際に起きた毒ぶどう酒殺人事件を扱った話。戦後犯罪史上、唯一無罪判決が逆転で死刑判決となったケース。死刑囚奥西勝は現在86歳で、既に44年も三畳の独房にいて、いつ死刑執行されるか怯える日々。
⬆あぁ、今朝も生きている!もう夜が明けなくてもいいのに。
⬆人権擁護団体代表の川村富佐吉に励まされて、希望の灯を点し続ける。「奥西さん、しぶとく、しぶとく生きて、次は是非拘置所の外で会いましょう。これは”約束”ですよ!」
⬆母、奥西タツノは息子の釈放を願って祈り続ける。樹木希林、さすがの演技だ!
母死亡の報に接して嗚咽する奥西勝。現在80歳の仲代達矢、凄い演技だ。因に母親役の樹木希林は70歳。
それにしても、この作品を見ると、無菌培養された世間では極めて優秀とされる裁判官が、まるで血の通わない判決を出しているのが、本当に許せないという怒りが改めて湧いくる。
この作品は現在東京では新宿のシネマートのみ(名古屋、大阪も単館)で上映されているのがもったいないと思うほどの作品であり、もっと大勢の人に見て欲しい。
#24 画像はALLCINEMA on line