ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

交響曲第一番HIROSHIMA (佐村河内 守)を聴きにミューザへ

130817 初めて佐村河内 守を聴く機会が。炎天下、近くのミューザ川崎へ向かった。ほぼ満席。開演前に作曲家本人が1階の後方席へ。万雷の拍手。今日の席は舞台左手、2階席最前列、ほぼマエストロを真横に見るポジションだが、悪くない。

 

さて、その交響曲1番HIROSHIMA、不安、絶望、祈り、希望などがテーマであることがよく分かる。勿論自分が被爆2世であることを強く意識した構成で、まことに名曲である。特に1楽章の美しい旋律、終楽章の激しい盛り上がりは、感動的であった。

 

終演後、佐村河内 守自身、舞台に上がり、マエストロと何度もハグ、また第1列目の楽団員とひとりずつ握手と、中にはハグする人も。そして、胸に手を当て、楽団員に何度も何度も感謝の仕草、また熱狂する聴衆にも四方八方上下に何度もお辞儀を繰り返していた。

f:id:grappatei:20130422185423j:plain

 左は大友直人マエストロ

f:id:grappatei:20130817193800j:plain

 最近、NHK特集でこの天才作曲家の作業場面なども詳しく報道されたの、ご覧になった人も多いだろうし、かく言う愚亭もその一人。

今朝から彼の著書、「交響曲第一番 闇の中の小さな光」(幻冬社文庫)を読み始め、会場でほぼ読み終わったが、想像を絶する壮絶な前半生で、言葉もない。現在は全聾で、四六時中の耳鳴りというか、それ以上の頭鳴り状態、更に視覚障害もあり、濃いサングラスをかけ、脚にも障害があるのか、杖をつき、加えて左手薬指に強い腱鞘炎が出て、包帯を巻くと言う、満身創痍状態は、まことに見るに忍びない姿であった。著書によれば、絶対音感があるので、全聾でも作曲が出来るそうだが、常人には理解不能の世界だ。

 

実になんとも壮絶な演奏会であった。彼の自伝の中にある「真実の音は闇の中からしか生まれない」、「生まれ変わることが出来たら、頭鳴りのない全聾で生まれてきたい」が強く印象に残った。

 

#44  画像はNHK Eテレから