ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

チューリッヒ美術館展@国立新美術館

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招待券の期限、あやうく見落とすところだった。展覧会そのものの会期とは別に有効期限が設定されていることがあるので、油断ならない。期限まであと数日というところで、やっと見に行けた。いつもより少し早めの3時半頃に会場のE-1ホールに入場したけど、それほどの混雑もなく、ゆっくり鑑賞できて幸いだった。

比較的こぶりな展覧会だから、小一時間で見られた。もともとチューリッヒ美術館自体、さほど大きなものではないから、これだけ名品を揃えて他国に出すのは、結構な決断だったと想像される。

スイスが世界に誇る画家の一人セガンティーニから、彫刻家、アルベルト・ジャコメッティまで、全74点で、構成は、

1。セガンティーニ

2。モネ

3。ポスト印象派

4。ホドラー

5。ナビ派

6。ムンク

7。表現主義

8。ココシュカ

9。フォーヴィズムキュビズム

10。クレー

11。抽象絵画

12。シャガール

13。シュールレアリスム

何となく、他の展覧会の章立てとは異なる印象を受ける。同じ画家の出展作品数が一定数を超えると単独で章を設けるし、そうでないと、主義や派の括りに入れるという、かなりシンプルな考え方で構成を立てたように見受けた。セガンティーニだけは例外で僅か2点だけで、枠を設けているのは飽くまでも特別扱い。

ホドラーとヴァロットンは、つい最近、特別展で作品群を見たばかりだが、妙に懐かしさを覚えるという不思議な感覚。

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今回一番の大作「睡蓮の池、夕暮れ」2mX6m。パリのオランジュリーにある睡蓮(ナンフェア)の大作に比べると、夕暮れというタイトル通り、全体に暗い印象があるのは当然として、雰囲気がよく伝わって来るのはさすがである。200点も描いたと言われる睡蓮、これはおそらく最末期の作品の一つだろう。

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サント=ヴィクトワール山 1907年 63cmX83cm セザンヌの風景画と裸婦の群像画はなぜか好きになれない。この絵もどこがどのようにいいのか、自分には謎。

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存命中から裕福だった画家の一人、エドガー・ドガの「競馬」1885/7年頃。42.5x49.5と小品だが、インパクトはある。厚紙にパステル。いつ見ても、馬体の描き方の見事なこと!右端にちらりとシッポが。ジャポニズムの一端。向こうの空の色がまたいい。

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おなじみゴーギャンの「花と偶像のある静物画」これも40.5X30とかなり小さい。ゴーギャンらしいべたっとした筆致と色の組み合わせがなんとも特徴的。ちらっと見える偶像は何を表そうとしたか。

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初めて見るゴッホの作品「サント=マリーの白い小屋」1888年。南仏カマルグ地方の突端にあるこの村、Saintes-Maries-de-la-Merと書くが、複数になっているように、昔の言い伝えで、聖母マリア他、マグダラのマリアたちが難を逃れてここに流れ着いたとされているゆえの命名。南仏の強烈な光が降り注ぐさまが見事に捉えられていて、いっぺんで好きになった。33.5x41.5とこれまた小さい。

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アンリ・ルソー、「X氏の肖像(ピエール・ロティ)」1906年 61x50 これも彼らしいと言うのか、不思議で独特の世界を描いている。手前の猫に注目だ。

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あら懐かしや、フェリックス・ヴァロットンさん。1917年制作の「日没、ヴィレルヴィル」ノルマンディー海岸に沈む夕日を単純な構図で描いている。色彩の組み合わせが素晴らしい!

なお、添付画像は、同館の公式サイトからお借りした。