180315 韻松亭で開かれた大学のクラス会は3時頃にお開き。その後、数人と開花寸前の桜並木をぶらぶら。私は行こうか迷っていた国立西洋美術館のプラド美術館展へ。
プラド美術館は過去10数回は行っている。ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコ、ムリリョなど、好きな画家をたっぷり楽しめるのだが、ルーブル(含むオルセー)、ナショナル・ギャラリー、ウッフィーツィなどに行く時ほどのワクワク感がないのは何故か、我ながら不思議で仕方がない。多分にイメージ的なものなのだが。
あそこは建物自体も堂々としていて、広々した空間での展示方も素晴らしいし、オーストリアと並んで絢爛たる繁栄を築いたスペイン系ハプスブルグ家の遺産の数々には凄いと思わざるを得ない。
ただ、勝手な思い過ごしだろうが、なにか華やいだものが比較的少ないのと、上記の画家たち、いずれも世界の美術史に名を残す堂々たる巨匠たちばかりなのだが、宮廷や神話、宗教的な要素の多い、どちらかと言えば、やはり題材が暗いのと単調だからなのかも知れないと思いつつ、入館した。
今回は70点ほどの展示で、点数としてはごく普通だが、結構大作が多く、見所は満載。圧巻はやはり空気まで描けると言われたベラスケスの宮廷画。詳細は同館のHP→展覧会構成 - プラド美術館展
このぐらいの点数だとおおむね1時間程度で見終わってしまうが、この美術館のお楽しみはむしろこれからである。常設館が企画展のチケット提示で見られること!松方幸次郎のこのコレクションがとにかく凄い。今回、新規購入作品が10点ほども加わって、一層の充実ぶり。
新収蔵作品ではないが、足を止めたのは、ポール・セザンヌのこの作品。
左側の木々の処理に塗り残しが目立つ作品。「葉を落としたジャ・ドゥ・ブファンの木々」というタイトル。印象主義に目覚めたセザンヌはその後、次第に印象派とは距離を置くように変わって行く。風景画における造形性を探求中していた頃の作品らしい。単なる印象主義でなく古典主義との融合を図ろうと腐心していた時か。
ところで、さらにラッキーだったのは、たまたま開催されていた
「マーグ画廊と20世紀の画家たち―美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を中心に」
も見られたことである。→詳細
偶然、その昔、南仏のサンポール・ドゥ・ヴァンスで、フォンダシオン・マーグ経営の美術館に行ったことがあるが、今回の展示はパリにあるマーグ画廊からの出品で、版画である。ただ、顔ぶれが凄いのだ。
現在、国立美術館の入場料は一般が¥1,600と決して安くないのだが、今日のように効果的に見ると、コスパはかなり高いことが分かる。