ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団@サントリーホール

180212 「復活」の合唱練習の前に、すでにチケットを購入済みだったコンサートへ。久しぶりにコバケンをP席から見ることになった。

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P2-33という席からの眺め。最前列は下手側に3席、上手側にも3席だけ飛び出しているが、上手側は撮影機材が専有している。例によって手前には打楽器、管楽器が来るので、音的にはとても正しい鑑賞は望めない。が、マエストロを正面に捉えられることと、管楽器や打楽器奏者の演奏ぶりを間近に見られるのは嬉しい限りである。とりわけ、「春の祭典」のように、変わった楽器を多用する場合は、ことさらここに座れるありがたさを感じる。

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春の祭典」は、さすがにコバケンにとっても多少勝手が違うのか、暗譜ではなく、分厚いスコアを広げて演奏していた。それぐらい、目まぐるしく独奏楽器が次か次へと演奏をリレーしていく。冒頭、特色あるメロディーをファゴットが妖しく奏でる。

この楽曲は、どうしても大昔に見たディズニーの傑作「ファンタジア」の映像が蘇ってしまう。まあ、振り払うこともないから、そのままにしているが、本来はバレエ音楽だから、バレエの振り付けをイメージするべきなんだろう。

「ああ、アメーバが出て来た」、「ここで大地震が・・」、「恐竜同士の戦いで、最強のティラノザウルスが勝ち誇る」、「ああ、氷河時代の始まり」とかなんとか、次々に浮んでしまうから、困ったもんだ。

それにしても、使用楽器の豊富さはどうだろう。すぐ目の前に打楽器の中のマイナーな小楽器がトレーに収まっている。ギロという、ナマコの化け物みたいなものが鎮座していたり、なかなか面白い。すぐ右手にドラ。出番まで布を被せてある。

左側へ転じると、大太鼓、中太鼓、ティンパニーで、3人の奏者が叩きまくる。その前に管が来るのだが、上手にチューバが2本。演奏中、重いミュートを持ち上げてはめ込む場面が。ここはやはりか弱い女性には無理そうだ。なにしろ電気釜と見まごうほどの図体をした弱音器だからね。

そのすぐ右隣にトランペットだが、前半のベートーベンの7番ではロータリータイプを使用していたが、春の祭典では、従来型のピストン管が登場、さらに一人は二回りほど小型のソプラノトランペットを持っている。その斜め前にはバスクラリネットが2本も。

ホルンは6管で、そのうち二人はワグナーチューバの持ち替え。音色もかなり異なるが、持ち方が、まるで幼児を抱きかかえるようにして吹くところが面白い。ホルンが咆哮するところでは、普段の位置より朝顔を持ち上がるようにして吹いていた。楽譜にそういう指示が出てるのだろう。

ピッコロが持ち替えで、2本も同時に登場するのはこの曲ならではのことだろう。

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f:id:grappatei:20180213132636j:plain上の写真の下に書かれているように、シャンゼリゼ劇場で初演された時は、あまりに異様な曲で、支持派と反対派に別れて大騒ぎになったというから面白い。確かに、初めて聞いたら、当時としては、なかなか理解されずらかっただろう。

それにしても、特に「春の祭典」でよく聞こえたのだが、最初、なんだろう、この音色を出す楽器は?と思ったほど、コバケンの唸り声がよく聞こえた。時に地響きのごとく響いたが、本人はどの程度意識しているのだろう。正面席なら、多分よほど前列でないと聞こえないだろうから、その辺は計算してやっているんだろう。録音には間違いなく拾われるな。

終演後のコバケンのオケメンバーにたいする労りの表現がまたすごいのだ。かきわけ、かき分け、ティンパニー奏者や、コンバス奏者のところまで出て行って一人一人と握手するという具合。(時間の関係でベートーベン7番の時しかこの光景は見ていないが、おそらく「春の祭典」ではそれ以上だったことだろう。)

終演と同時に飛び出して、合唱練習会場へ急行した。

#11