ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「羊の木」

180216 監督:吉田大作

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なかなか巧妙に作り込まれた脚本で、それなりに面白く見たが、設定自体に無理がある。いくら過疎地とは言え、国家プロジェクトとして、仮釈放中の受刑者、それも全員殺人犯を住民には一切極秘で一定期間住まわせ、刑務所側ではコスト削減、引き受ける行政での人口減少歯止め化って、そんな都合のいい話、まぁあり得ないネ。ゼッタイばれるって、こういう極秘話は。

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⬆︎ギター演奏を通じて親しくなる元殺人犯、宮越(松田龍平)と、役所の担当者、月末(錦戸 亮)の元カノ、文(あや)。木村文乃は本作のためにギターの特訓を受け、かなりのレベルのように見える。(弾ける人が見れば、運指がかなり怪しいそうだが)

それと何かモデルがあるんだろうが、地方都市の古くからの祭りとして登場する”のろろ”とか言う怪魚を崇め奉るって風習が、なんかオカルト風で、これが出てきてから、流れが急におかしくなる。こういうへんてこりんなものは登場させない方がリアリティーがあったのに、惜しいね。

ついでだが、終盤、元殺人犯だが月末とは一番気があうかに見えた宮越(松田龍平)が本性を現し、月末を岬の突端に誘い出すシーンも、相手の殺意をたっぷり感じているはずの月末だから、一緒にそこへのこのこ行くかねぇ。

俳優たちはいずれも達者で、なかなか見せ場を作って盛り上げてくれる。錦戸 亮って、初めて映画で見たが、こういう役所にいけば必ずいそうな普通の感じが素晴らしい。松田龍平、相変わらず無表情で不気味な役をこなしている。北村一輝も、いつもにやにやしながらも凄みを感じさせるし、元ヤクザ、田中 泯は言うに及ばず、優香が案外上手いのにはいささか驚く。ただ、あんな70近いジジイ⬇︎に惚れるという設定も無理すぎ。

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#11 画像はALLCINEMA on lineから