ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「LIFE」

170710 原題のまま。米 104分 監督:ダニエル・エスピノサ(「デンジャラス・ラン」「チャイルド44 森に消えた子供たち」)

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スペースSFだが、かなり現実味を帯びているのは、火星から土を採取して、生命体の存否を確認する話だからだ。ただ、展開の仕方は「エイリアン」のパクリと言われても仕方ないほど酷似している。

火星の表層部の土を持ち帰り、実験室で生命体らしき微生物を見つけ、それを「育てる」ことに。この時点で、地球でも大騒ぎとなり、この子に愛称をつけるセレモニーまで大々的にタイムズスクエアで開かれる始末。

最初のうちは、ひらひらと舞う、どこか頼りなげで可愛らしい葉っぱのような存在が、やがてとんでもない化け物に大変容して行くからサァ大変。ヒトデのような、タコのような、くねくね、うねうねした怪物カルビン(愛称)は、手始めに船内に飼われていたマウスに襲いかかり、血肉を奪い取り、一段と逞しくなる。そしてとうとう乗組員に犠牲者が出始め、国際宇宙ステーション(ISS)は大パニックに。

一人二人と犠牲者が増え、ついに最後の二人が、ISSに残された2台の一人乗り救命艇で、一人はカルビンを道連れに宇宙空間へ、もう一人は地球帰還を目指すことになるのだが・・・。

「ええーっ!」というラストシーンは、なかなか見せるねぇ。ここは感心した。それと、やはり宇宙ものとは言え、どんどん映像が進化を遂げているから、細部へのこだわりが素晴らしいので、ついつい引き込まれ、体がこわばるほど興奮する。

愚亭のごとく、この手の作品が好きな方には必見と申し上げておこう。

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日本人クルーを演じる真田広之も、今や堂々たるハリウッドスターになれたようだ。見栄えもいいし、存在感もあるし、立派だ。

逆に、今人気沸騰中のライアン・ゴズリングと同じくカナダ出身で、同じファーストネームを持つライアン・レイノルズ(「デンジェラス・ラン」2012,「白い沈黙」2014)に期待したが、前半でカルビンの餌食になって画面から消えてしまったのは意外だった。当初、ジェイク・ギレンホールの役(ただ一人、地球に到達)を狙っていたらしいが、撮影スケジュールの関係で端役になってしまったのはもったいない。

#45 画像はIMDbから。

「海の日のチャリティーコンサート」祝祭合唱団の練習もいよいよ終盤

170709 4月から始まったモツレクナブッコの練習も15回目で、この日本声楽家協会本部のある初音ホールでの練習も今日が最後。来週はいよいよ芸大での仕上げとなる。

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詳細プログラムは:

第1部
萩原 潤(Br)ヴォルフ《メーリケ歌曲集》より あばよ
小林沙羅(S)グノー《ファウスト》より 宝石の歌
許 昌 (T)ドニゼッティ連隊の娘》より 友よ今日は楽しい日
山下裕賀(Ms)マスネ《ウェルテル》より ウェルテル…誰が言えましょうか…
高橋絵理(S)Jシュトラウス《こうもり》より チャールダシュ
中島郁子(Ms)ヴェルディイル・トロヴァトーレ》より 重い鎖に繋がれて
石原妙子(S)ヴェルディイル・トロヴァトーレ》より  あれは穏やかな夜だった
西村 悟(T)マスネ《ル・シッド》より おお、裁きの主、父なる神よ

第2部
モーツァルト「レクイエム」より
・Requiem(S独唱と合唱)
・Kyrie eleison(合唱)
Dies irae(合唱)
・Tuba mirum(S.A.T.B独唱)
Lacrimosa(合唱)
・Agnus Dei(合唱)
・Lux aeterna(S独唱と合唱)

指揮:高橋大海 ピアノ:森島英子、服部容子
独唱:大久保陽子(S)、鎌田雅子(Ms)、布施雅也(T)、小野和彦(Bs)

第3部
甲斐栄次郎(Br)ビゼーカルメン》より 闘牛士の歌
望月哲也(T)  グノー《ロメオとジュリエット》より 太陽よ登れ
島崎智子(S)  プッチーニ《トスカ》より 歌に生き、愛に生き
直野 資(Br) ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》より 祖国の敵
手嶋眞佐子(Ms)ヴェルディドン・カルロ》 より おお不幸な賜りもの
高橋啓三(Bs) ヴェルディシモン・ボッカネグラ》より 悲しい胸の思いは
川上洋司(T)  ドニゼッティ愛の妙薬》より 人知れぬ涙
原直子(A)  サン=サーンス《サムソンとダリラ》より 愛の神よ私を助けに来ておくれ

第1部と第2部のピアノ:森島英子、服部容子、山口佳代

こうした綺羅星の如き一流オペラ歌手と同じ舞台に乗れる幸せを再び噛み締められそう。

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先週から各パートに数名のトラさんが入り、たまたま私の真後ろには、普段は合唱指導をされているという若きバスが座った。なるほど、これがほんまもんのバスかと改めて感じ入るほどの歌声で、それに乗せられて気持ちよく当方も歌わせてもらった。

今日は、当日の並び表も配布され、その通りに並んで歌った。両端にソプラノ、アルト、総勢120名ほど、内側にテノールバリトンが約50名という陣容。自分で言うのもどうかと思うが、やはり15回目ともなると、信じられないほど上達していることがよく分かる。指導の先生方からもお褒めの言葉をいただいたが、案外、本音かなあなどと感じた次第。

(写真は、同じパートの川口忠康氏のフェイスブックからお借りしたもの。)

大田区コーラスフェスティバル、裏方、初体験!

170708 

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地元合唱団の一員としての出場経験はあるものの、裏方は今回が初めて。今年度から大田区合唱連盟の運営委員を引き受けたことから、こういう仕事が回ってきた。担当は、「舞台」ということで、舞台裏での様々な作業をこなすのだが、初めてでもあり、勝手が分からず、右往左往、高齢者には相当ハードで、次回からは別の仕事に変えてもらいたいと思ったのが、正直な感想。

午前9時前から、最後の反省会(茶菓のみで、ノーアルコール)まで入れると、ちょうど12時間!ほぼ立ちっぱなしのハードスケジュールだが、これを裏で淡々とこなしているのは、平均年齢、65歳ぐらいの男女(言わずもがなだが、女性の方が圧倒的多数)いやはや大変な労力を厭わずこなしている姿は素晴らしい。

今回は出場合唱団が55団体とこれまでで最多。1団体あたり、6~8分で、概ね2曲を歌うことになる。日本人特有の細かい分刻みのスケジュール表が作られて、万全の準備態勢が敷かれる。それでも、今回は最終的に20分近い遅れになった。

最後に、区政70周年に合わせて作られた大田区のイメージソング、「笑顔、このまちから」(作詞:湯川れい子、作曲:千住明)を会場の皆さんに唱和してもらったのだが、その時点では、1割ぐらいの聴衆しか残っておらず、ちょっと寂しい幕切れになった。

我が「大田区民第九合唱団」(妙な名前だが、このアプリコで初めてベートーベンの第九が歌った折に結成されたので、この名前に。特に第九ばかり歌っているわけでもなく、なんども団名変更が検討されたが、そのままに)が今回歌ったのは、「レ・ミゼラブル」から「民衆の歌」と、映画「タイタニック」の主題歌、MY HEART WILL GO ON(イタリア語版)の2曲。

会場で聞いていた家族からは、水準以上だったと褒められたが、後で送られてくるアンケート結果が楽しくもあり、恐ろしくもある。

なお、我が合唱団は今年の11月18日には第10回定期演奏会として、再びこの大ホールで、20曲以上歌うことになっている。

「夏の夜に紡ぐ歌」@アルテリーベ東京

170705 梅雨空の下、内幸町経由でアルテリーベに出かけた。食べながら飲みながら一流の歌手が登場して、様々なジャンルの歌を聴かせてくれる”小屋”は、近年どんどん減っているので、今や、銀座7丁目の音楽ビアプラザ ライオンと並んで、ここは貴重な存在になっている。

幸いなことに、予約もしていないのに、舞台を正面に見る最後列(4席しかない)に陣取ることができた。やはりこういう場合は、早く来るに越したことはない。

今回のお目当はメゾソプラノ星 由佳子。昨年末、杉並公会堂での第九の舞台で図らずもご一緒できたのが縁で、何度かその後も聴かせてもらっている。

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手書きの演目メニュー、字が大きいのを幸いに、横着してこれで見ていただこう。

今回、アレっと思ったのは、ヴァイオリニストが加わったことだ。志村寿一は長くニューヨークで活躍されていた方のようだ。毎回、星の伴奏を務める片岡和子とは既に共演しているので、その関係で今回、この舞台に登場することになったのか。

確かにヴァイオリンが伴奏に加わる効果は絶大で、星の歌唱に華やかな彩りを添える結果となった。

構成はご覧の通り、バッハから日本民謡まで、歌う言語もさまざまだが、今回はヘブライ語ユダヤ教の祈り「カディッシュ」)まで加わるという賑やかさだ。

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第1部、「マタイ受難曲」から「船頭可愛や」まで、この衣装。「モリー」は、音域の広さでは難曲と思うが、星のように低音からソプラノ張りの高音域まで出せる歌手だとしっかりレパートリーにできるのだろう。見事な歌唱だった。

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第1部最後は、トロバトーレからアズチェーナのアリア「重い鎖に繋がれて」。これまた極度に難しい楽曲で、よほど集中して練習したと思われる自信に満ちた歌いっぷり。Bra~~~va!!!このコスチュームは、これ1曲だけというから、熱の入れ具合が違うのだ。

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第2部は、シックないでたちで登場。ロシアものからスタートさせ、最後は自分でも学生時代から最も好んだ歌だけど、最も難しいと紹介したサン=サーンスの歌劇「サムソンとデリラ」から「あなたの声に私の心は開く」。曲想をしっかり捉えて、これも素晴らしかった。

アンコールにはお得意のカルメンから「ハバネラ」、そしてラストはBE MY LOVEで締めくくった。

f:id:grappatei:20170706122527j:plain無事、盛大な拍手に包まれて終演。お疲れ様でした!

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今回は、食事ふた皿と、ワンドリンク(選べる)が付いて、5千円ちょっと。お値打ち感、たっぷり。

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二皿目、トマトソースの下は、鶏肉とソーセージ。味付けもOK。ドリンクは2杯目にハーフ&ハーフ(@¥500、テーブルで精算)をオーダー。それで十分。

#31 (文中敬称略)

「おとなの恋の測り方」

170603 原題:UN HOMME A LA HAUTEUR(腕利き、という意味があるようだが、身長hauteurに引っ掛けたタイトルだろう)仏 98 監督:ローラン・ティラール(日本公開作品としては、3本目)

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身長136cmの建築家、アレクサンドル(ジャン・デュジャルダン)が、普通の恋をするのだが、当然ながら行く先々で好奇の眼で見られ、それでも耐えきれるのかどうか。

 

相手の若き弁護士、ディアーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)は、落としたスマホを拾ってくれた男と会話を通じて好意を持ち、さっそく会う約束をするのだが、約束の場所に登場した相手を見て、絶句!

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家族や職場仲間をコミカルに巻き込んで進行、結構笑わしてくれる。予想通りの結末となるのだが、全体として悪くない。小気味いい会話が楽しい!

 

今の映画技術だから、180cmを超えるジャン・デュジャルダン136cmにするなど、楽勝だろう。それでも、ここはどう撮影しているのかな、と興味を持つシーンがいくつか。尤も、スカイダイビングの場面だけ、スタントマンがやってるから仕方ないけど、上空からの映像はだいぶ男の方が大きかった。そこまではさすがにこだわれなかったようだ。

 

ちょっと残念だったのは、ヴィルジニー・エフィラというベルギー女優、ごく普通の女性で、魅力に乏しすぎ。もう少し適任はいなかったのかねぇ。

 

#43 画像はIMDbALLCINEMA on lineから