ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

大田区合唱祭と小学校のクラス会

171028 今年から運営委員になってしまった大田区合唱連盟主催の合唱祭が、区民ホール アプリコ大ホールで開催された。あいにく、小学校のクラス会と重なってしまい、中抜けで、雨の中、蒲田からクラス会会場の三軒茶屋を往復した。

初夏のコーラスフェスティヴァルの時と同様、今回も舞台の担当だったから、高齢者にはかなりの激務になった。舞台袖にいて、合唱団の出入りの確認、団ごとに事前に集約した情報に従い、ピアノの蓋の高低管理、譜面台、指揮台の出し入れと、結構これがハードで、前回同様、今回も終演時には疲労困憊の態。

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合唱祭の看板も中央にきれいに上がって、一安心!

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調律師、9時半から開場後の11時近くまでかけて入念な調律を行ってくれた。

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下手側の舞台袖の様子。影アナ、録音担当、演奏団体看板の入れ替え担当とさまざまな担当者が入り乱れて、動いたり動かなかったり。

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次の出番を待つ合唱団。それぞれ柔軟体操したり、おしゃべりしたり、頭の中で歌詞を反芻すたり、緊張の面持ち。指揮者、伴奏ピアニストに譜面台や指揮台等の確認を行い、並び順も最終確認と慌ただしい。

11時過ぎに三軒茶屋銀座アスターへ。世田谷区立桜小学校は明治末期に開校しているから、100年を超える、区内でも指折りの老舗小学校。卒業時(昭和30年)の6年5組も、近年、先生を始め、あちら側へ移動する人が増えて、20名を超えることがなくなった。概ね、女子10名、男子5名が固定メンバーだが、今回は男女5名ずつと寂しいクラス会になってしまった。

中で、年初に悪性リンパ腫で死にかかった男の話がなかなか聞かせた。やはり一度死んだ気になると、普段あまり考えつかないような行動を起こすものらしい。彼は、実に多趣味な男だが、なかでも釣りが大好きで、釣りをしながら考えついたらしい。ライフジャケットを装着して逃げていれば、東日本大震災時の大津波でも救われた人が多かったに違いないと。

さっそく太平洋側の県知事などにライフジャケットを各地元学校に揃える運動を起こすべしと13通の手紙を郵送した。さらには、自ら一定数のライフジャケットを送ってもいいという提案まで。

反応はまちまちだったらしいけど、宮崎県のみ、彼の提案に乗り、ライフジャケットを受け取ったということだ。その費用、25万円!個人でこんなことをやってしまう彼も凄いが、それよりせっかく貴重な提案を受けながら、まるで聞き流すような通り一遍の対応する自治体の多さに驚いた。

彼の調べたところでは、ほとんどの津波による死者は溺死ということは明白であり、あの時ライフジャケットさせ着ていれば、死なずにすんだ人は圧倒的多数に上るそうだから、なんとかこの提案をきちんとしたルートに乗せて、積極的なキャンペーンに結び付けられないものか。そんなことを考えながら、合唱祭の現場に戻った。

オペラ「サド侯爵夫人」@伝承ホール

171027 テレビの影響もあり、すでに全国区の作曲家、青島広志が作曲したオペラで、しかも初演だからか、脇の席までぎっしりの超満員!昨日から今日にかけて全部で4公演。きょうはY組のマチネを見た。

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フランス革命を挟んで30年くらいのスパンで展開される話。三島の戯曲は・・・むかぁ〜し、読んだことがあるが、内容はほぼ覚えていない。こういう話をオペラ化しようとする熱情はどこから湧いてきたものだろうか。その辺のことは、以下に詳述されている。

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事前に青島広志自身からストーリーについて簡単な説明があったが、それでもわかりにくい話だし、日本語上演とは言え、完璧に歌詞が理解できるわけではないから、やはり字幕があればと思った次第。

舞台下手に陣取った小編成のオケは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとピアノという、いわゆるピアノ六重奏団を作曲家が指揮し、舞台上の歌手たちには、客席最前列で若い副指揮者(?)が振るというスタイルを取っていた。

バロック的なサウンドが美しく響く中、舞台上での6人の女性のやりとり、時に激しく、時に謎めいて、すこしずつ青島ワールドに聴衆をひきずりこんでいくという寸法。

第3幕では、冒頭イル・トロバトーレ第1幕のアズチェーナのアリア「炎は燃えて」(Stride la vampa)をシャルロット(実川裕紀)が、トーチを両手にもって熱唱し、その意図や奈辺にと思ったら、シャルロットの出番が少ないこともあり、敢えてこの場面を加えたということも上に書かれている。

その後は、フランス国家、ラ・マルセイエーズのメロディーがなんども登場。前半に比べると分かりやすい展開になってくる。

登場する6人の女性を演じる歌手たちが、まあどなたもお上手なこと!!このキャスティングは大成功で、素晴らしいと思った。10年以上も応援している江口二美はサン・フォン伯爵夫人という、これが難しい役どころなのだが、見事にぴたりとはまってしまっている。

第1幕の冒頭にいきなりムチを持って登場、しかも凛々しい白の乗馬ズボン!この人、歌ももちろんうまいが、演技がまた光る。メイクもあるんだろうけど、目力がただもんじゃない。

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それにしても、こういう話をオペラにしてしまう青島広志って、ほんとうに凄い人だ。いつも冗談ばかり言って、あちこち爆笑の渦で観衆を煙に巻くが、今日改めてその才人ぶりを認識させられた次第。

ところで、開演前から、場内、なにやら靄のごときものが立ち込め、開幕してもずーっとどこからかたなびいてきていた。なにの効果を狙ったのかよく分からない。

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ご覧のように薄靄の中、ご挨拶の青島広志(川口忠康氏のご好意でお借りした画像)

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左からシミアーヌ男爵夫人(悦田比呂子)、サン・フォン伯爵夫人(江口二美)、ルネ(横山美奈)、モントルイユ夫人(栗林朋子) (同じく川口氏撮影)

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終演後、出演者はご挨拶でエレベーターフォアイエに登場して、ファンたちとの交歓がひろがる。艶然と微笑むサン・フォン伯爵夫人(同じく川口氏撮影)

#72 (文中敬称略)

日本音楽コンクール声楽部門本選@オペラシティーコンサートホール

171024 リリックソプラノの名手、鈴木玲奈を聴きたくて、元の勤務先のA先輩と自由席最前列に陣取る。さすが本選まで勝ち残った歌手たち、どなたも格段のうまさで、練りに練ったと思われる選曲もすばらしいものばかり。陶酔の2時間だった。

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そんな中で、やはり鈴木玲奈のこの2曲は群を抜いていた。ルチアの凄みも鳥肌モノだったが、最初のラクメは、さらに素晴らしいもので、冒頭部分は人の声というより、なにかこの世のものとも思えない、天上の響のようなものが感じられた。そして期待通り、第1位に輝いた。

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A先輩撮影の写真。私は感激の発表の瞬間には立ち会えなかったが、発表直後、A先輩からこの画像が送られてきた。

2位になった横山和美も、大変小柄なのだが、声の響きは玲奈さんに決して負けてなかった。舞台度胸も良さそうだし、とても現役の大学院生とは思えぬ落ち着きぶり。今後た楽しみなソプラノだ。

主催者の一つ、毎日新聞の報道と画像を掲載させていたきます。

 第86回日本音楽コンクール(主催=毎日新聞社・NHK、特別協賛=三井物産、協賛=岩谷産業)の本選会は4日目の24日、東京・初台の東京オペラシティで声楽部門を開き、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」に超技巧的なソプラノを響かせた鈴木玲奈さん(28)=千葉県出身、東京音大大学院修了=が1位に選ばれた。応募138人の中から2度の予選を通った6人が現田茂夫さん指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏で自ら選んだオペラ・アリアを歌い、高橋薫子さん、多田羅迪夫さんら9人が審査した。

 

 他の入賞・入選は次の通り。(同位は歌唱順、敬称略)

 2位 横山和美(25)=ソプラノ、千葉県出身、東京芸大大学院▽3位 小林大祐(33)=バリトン富山県出身、二期会会員▽入選 迫田美帆(30)=ソプラノ、東京都出身、藤原歌劇団団員、今井文音(30)=ソプラノ、北海道出身、リスト・フェレンツ音大大学院修了、市川浩平(33)=テノール静岡県出身、二期会会員▽岩谷賞(聴衆賞) 横山和美【斉藤希史子】

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#71 (文中敬称略)

「バリー・シール アメリカをはめた男」

171024 原題:AMERICAN MADE(アメリカ製?)米 115分 監督:ダグ・ライマン(一連のボーン・シリーズの監督、製作総指揮を担当)

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例によってスタントを使わず自ら危険なシーンの撮影に臨んだトム・クルーズが話題になり散々予告編を見せられて見る気になったのだが・・・完全に期待を裏切られた。大した見せ場もなく、ストーリー展開も凡庸。実話に基づく話らしいが、へぇ〜そんなことがあったんだ、という程度。キーワードは、腕っこきパイロット、アクロバット飛行、メデジン・カルテル、CIA, FBI、サンディニスタ、イラン・コントラ事件、コロンビア、ニカラグゥア、パナマ、ノリエガ将軍、ドナルド・レーガン、etc.

TWAのパイロット、バリー・シール(トム・クルーズ)が、その腕を買われてCIAで一働きするうちに、メデジン・カルテル側に気に入られて、今度はそっち側で麻薬密売に手を貸し、巨額の富を築く。一度は米政府側にとっつかるものの、他の用途で使えると見られて釈放されるも、最後は知りすぎた男として密売組織に消されるというお話。

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TWAにいりゃいいのに、ある日、CIAの男(ドーナル・グリーソン)に持ちかけられた話に乗ってしまうバリー。因みに、トムは、グリーソンの親父、ブレンダン・グリーソンとはなんどか共演している。

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家中、ドル札だらけになり、金の価値が分からなくなる一家。寝っ転がって何を読んでるかと思ったら、アル・カポーネ自伝だ!こんなところで、足を洗っておけばよかったのだが・・・

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あら懐かしや、ノリエガ将軍まで登場する。この辺りまでどんどん悪事にのめり込むバリー。

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麻薬密売組織のために、何度も低空飛行で麻薬を空中から落とすことを続けていたが、ついにアメリカ政府派遣の小型機に追われ、民家のスペースに強行着陸、この撮影は自分自身で操縦していたというから、凄い!

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タレコミがあって、自宅にCIA, FBI, ATF, DEAなどなど、それに地元警察までが押しかけ、あっさりと御用!自宅のあるアーカンソー州メナの警察にしょっぴかれるものの、時の州知事ビル・クリントンの指示で釈放となる。何か使い道があるかと思ったのだが、結局、裏切った相手、密売組織から追われる身となり、政府側は知らん顔で、ま、体良く使い捨てられたわけだ。華々しくも太く、短く、哀れな末路。

この作品、メデジン・カルテルや、イラン・コントラ事件など、時のレーガン政府をゆるがすようなスキャンダルも絡めていて、その辺は実写フィルムなども交えてうまく構成していると思うが、なぜか最近の映画にしては、画面が粗いのが気になった。時代感覚を見せるために敢えてそうしたのかも知れぬが、もう少し迫力ある映像が見たかった。

邦題には「アメリカをはめた男」とあるが、はめたつもりがはめられたと逆説的に使われたのか。原題にはそのほうな意図は込められていないと思うが。

BGMに、普段よく聞いているHOOKED ON CLASSICが使われていた。

#72 画像はIMDbおよびALLCINEMA on lineから。

 

何日ぶりか、この景色!

171023 今頃、梅雨かよ、っていうようなうんざりするような長雨で、せっかく少し下がり始めた野菜が、また高騰するだろうし、本来秋晴れの日本にわざわざ遠路訪ねてくれている外来観光客は気の毒である。それが、まさに台風一過、久々に青空が戻った東京。

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あら、懐かしや、この夕景色。マンション9階の我が家から南南西方向を眺めると、三日月がくっきり!

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同じく西南西、遠くのハイライズ群は武蔵小杉。