171027 テレビの影響もあり、すでに全国区の作曲家、青島広志が作曲したオペラで、しかも初演だからか、脇の席までぎっしりの超満員!昨日から今日にかけて全部で4公演。きょうはY組のマチネを見た。
フランス革命を挟んで30年くらいのスパンで展開される話。三島の戯曲は・・・むかぁ〜し、読んだことがあるが、内容はほぼ覚えていない。こういう話をオペラ化しようとする熱情はどこから湧いてきたものだろうか。その辺のことは、以下に詳述されている。
事前に青島広志自身からストーリーについて簡単な説明があったが、それでもわかりにくい話だし、日本語上演とは言え、完璧に歌詞が理解できるわけではないから、やはり字幕があればと思った次第。
舞台下手に陣取った小編成のオケは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとピアノという、いわゆるピアノ六重奏団を作曲家が指揮し、舞台上の歌手たちには、客席最前列で若い副指揮者(?)が振るというスタイルを取っていた。
バロック的なサウンドが美しく響く中、舞台上での6人の女性のやりとり、時に激しく、時に謎めいて、すこしずつ青島ワールドに聴衆をひきずりこんでいくという寸法。
第3幕では、冒頭イル・トロバトーレ第1幕のアズチェーナのアリア「炎は燃えて」(Stride la vampa)をシャルロット(実川裕紀)が、トーチを両手にもって熱唱し、その意図や奈辺にと思ったら、シャルロットの出番が少ないこともあり、敢えてこの場面を加えたということも上に書かれている。
その後は、フランス国家、ラ・マルセイエーズのメロディーがなんども登場。前半に比べると分かりやすい展開になってくる。
登場する6人の女性を演じる歌手たちが、まあどなたもお上手なこと!!このキャスティングは大成功で、素晴らしいと思った。10年以上も応援している江口二美はサン・フォン伯爵夫人という、これが難しい役どころなのだが、見事にぴたりとはまってしまっている。
第1幕の冒頭にいきなりムチを持って登場、しかも凛々しい白の乗馬ズボン!この人、歌ももちろんうまいが、演技がまた光る。メイクもあるんだろうけど、目力がただもんじゃない。
それにしても、こういう話をオペラにしてしまう青島広志って、ほんとうに凄い人だ。いつも冗談ばかり言って、あちこち爆笑の渦で観衆を煙に巻くが、今日改めてその才人ぶりを認識させられた次第。
ところで、開演前から、場内、なにやら靄のごときものが立ち込め、開幕してもずーっとどこからかたなびいてきていた。なにの効果を狙ったのかよく分からない。
ご覧のように薄靄の中、ご挨拶の青島広志(川口忠康氏のご好意でお借りした画像)
左からシミアーヌ男爵夫人(悦田比呂子)、サン・フォン伯爵夫人(江口二美)、ルネ(横山美奈)、モントルイユ夫人(栗林朋子) (同じく川口氏撮影)
終演後、出演者はご挨拶でエレベーターフォアイエに登場して、ファンたちとの交歓がひろがる。艶然と微笑むサン・フォン伯爵夫人(同じく川口氏撮影)
#72 (文中敬称略)