ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ある少年の告白」

190508 BOY ERASED(消された少年)115分 米 原作:ガラルド・コンリー、製作(共)・脚本・監督:ジョエル・エドガートン

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アメリカのある地方都市。父、マーシャル(ラッセル・クロウ)は謹厳実直の牧師、母、ナンシー(ニコール・キッドマン)は従順、貞淑な妻、恵まれた家庭環境で素直に成長した一人息子のジャレッド(ルーカス・ヘッジス)は何不自由なく楽しい学園生活を送っている。

そんな絵に描いたような幸せな一家に出来(しゅったい)した”事件”こそ、大事な一人息子がゲイだと告白したこと。絶対に受け入れがたいマーシャルは、さっそく長老たちと相談した結果、ジャレッドを矯正施設に入れることで、ナンシーの運転する車で施設へと。

ところが、何が施設内で行われているか、外部のものには知りようがない。実体験したものだけが知るおぞましい、その矯正の実態が徐々に暴かれていく。そして、ついにジャレッドが取った行動とは・・・

父とは最後まで和解に至らなかったものの、ジャレッドに最大の理解を示す母親とはいい関係を保ち続けられたようだ。

エンド・クレジットが流れると、原作者及びその両親の映像が映される。なるほど、彼らに似せての俳優選びだし、メイクであり、コスチュームだと合点が行く。二コール・キッドマンがド派手な衣装で次々に登場するので訝しく思ったが、そういうことだったのだ。

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撮影の合間の和気藹々のショットか。

ニコール・キッドマンラッセル・クロウはオージー(ニコールはアメリカ生まれ、ラッセルはNZ生まれだが)で日頃から親しいらしいが、共演は初めてではないかな。ついでに、監督のエドガートンもオージーである。ニコールは現在52歳だが、相変わらず美しい。一方のラッセルは55歳、本作のためにかなりのデブに変身している。

タイトルロール、ジャレッドを演じるルーカス・ヘッジスはまだ21歳だが、確かな演技力には驚嘆する。日本公開作品9本に出演している。

エンド・クレジットで、その後、ジャレッドは”夫”と元気に暮らしていると出て来るが、その後に、さらに驚愕の事実が・・・

#31 画像はIMDbから

「アヴェンジャーズ/エンドゲーム」

190507 AVENGERS:ENDGAME 182分!!

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偶然ながら、前作の「アヴェンジャーズ/インフィニティーウォー」はちょうど1年前の同じ日に見ている。本作は、そこからさらに進化を遂げた、マーヴェルの最高傑作に違いない。これをIMAXの大画面、大音響、しかも3Dで見られるのは贅沢の極み!

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トニー・スタークの死に、思わず涙。

登場キャラクターの多さ、豪華な出演俳優のラインアップにも圧倒される。ま、これは劇場へ足を運ぶしかない。+900円だが、3D IMAXで見るべし。

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つい最近見たばかりのキャプテン・マーヴェルが初めてアヴェンジャーズに登場。「あんたがもう少しがんばってくれれば」に対して、私は地球だけ面倒みてるわけじゃないのよ、他にも無数の惑星面倒見ないといけないんで」と、かっこいいセリフを吐く。

エンドゲームというものの、どうせまた続編を考えることだろう。キャプテン・アメリカとアイアンマンは今回で引退らしいが。

#30 画像はIMDbから。

横浜シティーフィル第67回定期演奏会@みなとみらい大ホール

190506

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高橋絵理をまた聴けるとはありがたい!ただ、今日歌うのはワグナーだからなぁ。近くから聞くなら1階前列と思ったが、後半はチャイ5なので、2階バルコニー席最前列に陣取る。

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最前列は手すりのバーが少々目障りだが、仕方ない。

今日の弦楽器の配置は、2nd violinが1stの対抗の位置で、比較的珍しい。終演後、マエストロが握手を求めた二人目は、通常1stのコンマスの左隣の2番ではなく、2nd violinの右端の人物。この辺はよく分からない。

ホルストと言えば「惑星」なのだが、「日本組曲」のような作品があったということすら知らなかった。解説には、以下のように記されている。

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実に興味深い記述!

そんな事情で作曲されていたとは!!

まずはファゴットソロでいかにも日本風の響きが。それを弦楽が引き継いで行く。それぞれ短い楽曲ながら、随所に日本風のメロディーが登場していて、プッチーニのマダム・バタフライを連想してしまった。

高橋絵理が登場するトリスタンは、覚悟はしていたが、難解な渋い曲である。最近、進境著しい高橋だけに堂々と歌っていたが、聞く方はかなり勝手が違う印象。好みの問題だが。

チャイ5は、数あるチャイコフスキーの曲の中でも最も好きな部類で、低く始まるクラリネットの音色を聴くだけで、ぞくっとする。2楽章の冒頭はホルンの長いパッセージが続く。これを2番奏者が実にうまく吹いてくれて、大満足。この哀調を帯びた旋律をオーボエが引き継いで、再びホルンに戻る。

アンコールは「眠れる森の美女」からパノラマ。

#26 文中敬称略

「音楽が紡ぐアラビアンナイト」@国際フォーラム ホールA

190505  無料でラ・トラヴィアータを見るために購入した演奏会がこれ。

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タイミングがぴったりだったというのがその理由。別にリムスキー・コルサコフが聞きたいとか、このオケに興味があったわけでもない。

だが、素晴らしい演奏で、この若きロシア人で構成するオケのうまさ、コンミスの力量には感嘆するのみ。

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結局、このマエストロは事情で来日せず、若い日本人が指揮をした。

場内アナウンスで指揮者交代を告げられたが、若い日本人指揮者の名前が聞き取れなかった。

このオケの上手さには舌を巻いたが、7割ぐらいが女性団員はいいとして、彼女たちがいずれも実に美しい!ウクライナがよく美人の産地と聞くが、ウラル地方もどうやらウクライナ並みかも。彼らの本拠地はウラル地方のエカテリンブルク。偶然ながら、チャイコフスキー出身地のヴォトキンスクとはそれほど離れていない。

また演奏ぶりも実に堂々としていて、百戦錬磨の楽団かと見まごうほどだ。日本の同世代に比べると、まことに世慣れた風情である。

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国際フォーラムのホールA、最大席数5,012と、途方もない大きさ。前列の方の自席から見上げるとこのとおり。とてつもない空間が広がっている。

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#25

初めて「ラ・フォル・ジュルネ」@国際フォーラムへ

190505 以前から興味は持ちつつも、人混みが嫌で、一度も会場に脚を運んだことはなかったが、初めて今年は行く気になった。それがソプラノ浪川佳代の出る「ラ・トラヴィアータ」。

ラ・フォル・ジュルネ(LFJ)とは、そもそもフランス西部、ナント(「ナントの勅令」で知られる小都市)で誕生したのは、もう四半世紀前となる1995年。限られた期間内に内外の音楽家(主にクラシック)を集めて、朝から晩までぎっしりと小型プログラムを組み、低廉な入場料で広く音楽ファンに提供しようというのが基本コンセプト。

評判を呼び、今では日本を含む海外の諸都市でも開催されているらしい。日本では2005年から国際フォーラムを主会場にして毎年この時期に開催されているビッグイベント。

熱狂の日」という意味は知っていたが、実は、もうちょっと深い意味合いがこの命名にはあるらしい。

解説によれば、インスピレーションを受けたのがボーマルシェの戯曲「ラ・フォル・ジュルネ熱狂の日)、あるいはフィガロの結婚」。1784年に発表され、モーツァルトもオペラの元にしたこの戯曲は、当時の価値観を覆す革命的なものでフランス革命の導火線になったとも。 「ラ・フォル・ジュルネ」というタイトルこそ、まさに当企画の立案者ルネ・マルタンの夢、すなわち人々をクラシック音楽から阻もうとする様々なバリアを取り去りたいという思いにぴったりの言葉だった。

ちなみに第1回ラ・フォル・ジュルネのポスターは、モーツァルトが鼻に親指をつけて指を広げた、ヒトを小馬鹿にした仕草のシルエット。常識を覆そうとしていた、破天荒なモーツァルトのイメージというわけ。また、首都パリでなく、地方都市で産声を上げたというのも興味深い。

さて、無料公演のラ・トラヴィアータ、3月の「復活」でお世話になった浪川がでるとあって、前々から行くつもりであった。彼女はこの春、忙しい合間を縫って、丸の内シンガーズのメンバーとナントまで出かけて歌ってきている。今回はフローラ役での登場。

この人、以前から音楽プラザ銀座ライオンでなんどか聞いているし、このシリーズで「メリー・ウィドウ」も見ている。大柄な方だが、なんともキュートな幼顔のアンバランスが魅力の一つか。

この会場で無料で見るには条件があって、どれか有料のチケットを持っていること。過去は、丸の内オアゾのロビーで立ち見だったが、さすがに老いた身には堪える。たまたまこの上演の後のプログラムにホールAの演目があったんで、それを買っておいた。初めてスマホによる電子チケットをゲット。チケットはラインで送られてきて、指定の画面にすると入場時にスタッフが電子スタンプを押すという仕組み。

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ラ・トラヴィアータのスタッフ・キャスト



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開演1時間前に行ったら、すでに正面の席は満杯。右側セクション7列目に席を確保。

あとで聴いたら、正面のいい席にいるのは、前の演目からずーっとい続けている人がほとんど。来年からはそうしよう。

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タイトルロールは、めきめき売り出し中の高品綾野。名前の通り、どこか品がある。

望遠にしたら、こんな風に粒子が粗くなるが、まあ仕方ない。全部で50分という短縮版。⬆︎これはソプラノの聴かせどころ「花から花へ」の場面。最後の音はEsを無難に回避。最近、増えているが、やはりどうしても最高音を期待しちゃうのはどうしようもない。

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アルフレード直野 資のご子息、直野良平が演じたが、体調がイマイチだったか、やや不発。脇で心配そうに見る父親の顔が印象的。⬆︎衆人環視下で、アルフレードヴィオレッタを罵倒して周囲からなじられる場面。

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♪ Di Madrid noi siam mattadori ♪男声合唱隊の聴かせどころ

おお振りの赤いバラを先端に付けて、これを闘牛士の剣のように牛につきたてるような振りが面白かった。

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カーテンコール。右側でスカーフをしているのが直野 資。

大きな聴かせどころでもあるジェルモンが歌う「プロバンスの陸と海」をレジェンド、直野 資が渾身の歌唱で場内を沸かせたが、いかんせん現在74!♪ Ma, ma se alfin ti trovoの高音がぶら下がり気味で、聴いていて、ちょっと辛い。

ソリストはマイクをつけてうたっていたようで、どうもやはり違和感が残る音声だったが、こういう会場では防ぎようがないのだろう。

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ソリスト、合唱団員、オケメンバーとフォアイエで記念撮影

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公式カメラマンがどうやら上階から撮影しているらしく、全員こういう目線に。

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エストロ、コンミス、演出家を交えての撮影。
どちらさんもおつかれさまぁ〜!!

#24 文中敬称略