ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

キャンディード by 佐渡 裕

f:id:niba-036:20100807192536j:image:leftお馴染みのソプラノのナンバー「きらびやかに着飾って」は、昨日も一昨日も聴いたが、本公演で聴くのは今回が初めて。バーンスタインの愛弟子、佐渡が振るというので、かなり話題になっている公演。
これは完全にミュージカル。スタッフ陣、メインキャスト陣も全てあちらからということで、限りなく本場の味付けで、「ここは東京かニューヨークか」と言う感じ。

少し期待度が大きかったせいか、イマイチ感が残った。
映像をふんだんに使った構成も悪くないが、出だしからして、1950-60年代のアメリカの変遷をニュースで拾うようなのも、何か陳腐だし、エンディングもわざとらしく、説教じみた感じで、やや不満。

歌唱も演出もすばらしく、さすが本場は違うと思わせたし、何よりオーケストラの演奏が見事で、これには大満足。際どいセリフ回しや危ない場面もこれが本場のものと割り切ろう。

しかし、原作があのヴォルテールとは知らなんだ。舞台はウェストファリア(ドイツ北部にある地域名Westphaliaだが、ここでは架空の国名 しかもWestfailure - 西の失敗?と発音)ということになっているが、アメリカのどこかに置き換えている。

キャンディードの従者をアメリカ・インディアンにしたり、リスボン大地震を取り入れたりと、かなりはちゃめちゃな設定で、その辺りは余りこだわらず、自由に楽しめばいいのだ。

キャンディードの波乱万丈の人生も最後はめでたし。なにしろ、ヴォルテールの原作にも「楽天主義とは、どんな悲惨な目に遭おうとも、この世の全ては善であると、気の触れたように言い張ることなのだ!」とある。
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↑の男性陣は二人とも英国出身。進行役でもあるアレックス・ジェニングスの語りはブリティッシュそのもの。キャンディードを演じた役者、なかなか芸も歌も達者。クネゴンデのマーニー・ブレッケンリッジ(固い名前だ。ドイツ系だろう)は歌はうまい。(尤も、マイクを通しての声だから、よく分からない部分も)ただ、華やかさに欠けるのが惜しい。

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