ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ヒステリア」

130910 原題もHISTERIA[]ターニャ・ウェクスラー(名前から分かるように女性監督)

f:id:grappatei:20130911131155j:plain

何と性具を扱った、奇想天外・・・ではなかった、結構大真面目なイギリス映画。しかも実話だ(その後にReally!と画面上で念を押すところが面白い!)しかし、モノがものだけに、クスクスの絶えない作品。

 

大英帝国がまだ燦然と輝いていたヴィクトリア朝、19世紀末、女性たちはまだ社会進出を果たせず、家事労働が当たり前の時代。彼女達を悩ませていたのはヒステリー、ま、欲求不満だね、実際は。これを改善しようと(建前は)立ち上がる老医師ダリンプル(ジョナサン・プライス)が奇天烈なマッサージ方法を開発、実践して、徐々に患者が増え始める。

f:id:grappatei:20130911131255j:plain

ある日、職探しの若い医師グランヴィル(ヒュー・ダンシー)が老医師のもとに現れる。増え続ける患者の対応に苦慮している最中だったから、即、住み込み採用を決定。助手として施術をさせてみると、筋がいい。ついでに性格も、見栄えもいいから、次女エミリー(フェリシティー・ジョーンズ)⬇の婿にして、病院をつがせようともくろむ。

f:id:grappatei:20130911131346j:plain

ダリンプルには、実は社会福祉活動に熱中する長女シャーロット(マギー・ギレンホール)がいるが、社会的地位と名誉にしか興味のない俗物の父親とはそりが合わず、家には活動費の無心の時以外は、まったく寄り付かない始末。

 

グランヴィルの方は、取り敢えず、施術に没頭するものの、利き手の右腕を酷使した結果、腱鞘炎となり、ある日、大事な患者にうっかり左手を使ったために、まったく効かないと大顰蹙。ダリンプルからも解雇され、エミリーとの婚約も破談と散々な目に。

 

さて、そこからが、物語は意外な方向へと・・・

f:id:grappatei:20130911131228j:plain

この性具、更に発展を遂げて、ついに電動が登場、すっかり世間で話題になり、お陰で製品は大売れ、開発に力を貸したグランヴィルに思いがけない大金が転がり込む。それを何にどう使ったか。

f:id:grappatei:20130911131457j:plain

⬆最後はちょっぴりハリウッド・タッチのハッピー・エンディング。

 

終幕近く、最新式ヴァイブがうやうやしい木箱に収められ、何とヴィクトリア女王(そっくりさん登場)に献呈されるというシーンにはたまげた。BGMはもちろん英国民愛唱歌であるRULE  BRITANNIA 1740年、アーン作曲)。

 

ところで、イギリス出身の俳優陣の中で一人だけアメリカ出身のマギー・ギレンホール。先祖はオランダ系だろうが、NY出身のバリバリのヤンキー。従って、彼女一人が米語を喋っていて違和感あり。今度封切られるダイアナの主人公のナオミ・ワッツさんなど、しっかり英国式発音を身につけているのに、少しばかり努力不足。

 

更に、エンドロールでは、その後開発された新型ヴィアブが年代順にクレジットの脇に紹介される。最近のモデルにはHITACHI製まで出て来て、大笑いしてしまった。イギリスもヘンな作品を作る国だ。しかも、作ったのは女性だからねぇ!

 

#74 画像はALLCINEMA on lineから