140111
現在、渋谷Bunnkamuraで開催中のピュヴィ・ドゥ・シャヴァンヌ展に合わせて来日したシャヴァンヌの研究では第一人者と言われるエメ・ブラウン・プライス女史の講演を聞く機会があった。
女史は名前から分かるように、英仏両国語を母国語とされているようで、どちらも完璧に話される。今回は英語の通訳なので、英語でやりますと、冒頭にお断りが。この通訳さんがまためっぽうお上手で驚いた。
1時間半、用意された紙を読みながら、講演を進められた。ご覧のようにかなり高齢と思われるので、これもやむを得ないが、せっかくスクリーンに映像を映し出しているので、それを指し示しながら、講演してくれればなお良かったと思うのだが・・・。ないものねだりかな。
シャヴァンヌは印象派の画家たちが登場する前に活躍した、リヨンの裕福な家の出の画家。ロマン主義のドラクロワらに師事した、象徴主義の先駆者という位置づけ。新古典主義と見られることもあるらしいが、様々な絵画手法を実験していることが分かる。
⬆代表作の一つ。「貧しい漁師」1881 オルセー美術館 登場人物が三者三様、勝手な方向を向き、相互に無関心という、一風変わった構図が特色。
また、後の印象派や、その後に活躍したゴーギャン、スーラ、ピカソ、マチスなどにも多大な影響を与えたこと、或は自身が浮世絵の影響を受けたことなども知られている。主要な作品は、公共建物の壁画が多く、その建物のスタイルに合わせた形状や色彩を多用している。
大壁画とは別に同じ題材で、縮小版も油彩で数多く残している。水彩画にも見るべきもの、多し。
1時間半の講演の後、質疑応答セッションを30分ほど。質問の中に、彼が当時既に登場していた写真の影響はどの程度受けていたか、というものがあり、大変丁寧に答えていたのが印象的。確かな記録が残されているわけではないが、影響を受けていたことは間違いないということであった。