ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「皇帝と公爵」

140109 原題:LINHAS DE WELLINGTONウェリントン線)[]バレリア・サルミエント(当初、名匠ラウル・ルイス監督のプロジェクトとして進行していたところ、撮影直前に急逝。よって、妻で、ずっと彼の作品の編集を担当していた彼女が代わってメガフォンを取った。第1回監督作品)

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ウェリントン役はジョン・マルコビッチ。他の超有名出演者同様、ほんの数カットしか出ない。

 

余り事前情報なしに、見に行ってその豪華な出演陣にぶったまげた。それにしても、大変な作品だ。ナポレオンVS.ウェリントンという図式なのだが、これが結構複雑怪奇、確かに相関図がないと、よく分からん歴史群像劇。

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大体、ナポレオン軍がポルトガルへ侵攻した話そのものを、我々日本人は余り知らないからね。(アタシだけ?)スペインへ攻め込んだことは知ってたけど、1810年、部下のマッセナ将軍に言いつけてポルトガルをちょっと盗って来い、という塩梅。ま、当時それぐらいの勢力を誇っていたナポレオン軍だから、言ってみれば、赤子の手を捻るぐらいのつもりだったんだろう。

 

ところがどっこい、あのウェリントンが控えていたから大変。ポルトガル・イギリス連合軍を率いていた名将だから、そうは行かない。緒戦はブサコってーとこ(コインブラのそば)で仏軍もまずまずの戦いをするんだけど、そのままずるずる南下してウィリントン様が仕掛けた罠に、これがまんまと引っかかっちゃうんだね。それを152分だから、2時間半かけて描く。

 

女流監督らしく、英雄の対決より、悲惨な戦いに巻き込まれる市井の人々、とりわけ踏みにじられる女性たちの生の姿を描きたかったんだろう。

 

当然、戦いだけでなく、そこに巻き込まれる両軍関係者、地元で大迷惑する民、若い女、じいさん、ばあさん、子供に、いろんな人種が登場する戦争絵巻。久しぶりにこんな華々しい戦争映画を見た。同じナポレオン軍を描いた例の「戦争と平和」以来かな。スケールとか、登場人物の多さからすれば。

 

尤も、ミシェル・ピッコリイザベル・ユペールカトリーヌ・ドヌーヴキアラ・マストロヤンニ(ますますマルチェッロそっくりだ。そして、母親と共演とはね)、ジョン・マルコヴィッチマチュー・アマルリックメルヴィル・プポーなど、登場シーンはほんの僅かしかないが。そんな中、「カストラート」、「モディリアーニ 真実の愛」、「ずっとあなたを愛してる」のエルザ・ジルベルスタインが懐かしかった。

 

主役陣は、ほとんどがポルトガル人俳優で、日本人には馴染みが薄い。

 

#1 画像はALLCINEMA on lineと「皇帝と公爵」HPから