ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「戦争と人間」@Amazon Prime

231013 第1部〜第3部(それぞれ3時間超え)1970-1973 五味川純平の作品を山本薩夫が映画化したものです。当然、当時かなりの話題になっていたはずなのですが、社会人4年目の愚亭はリアルタイムで見ていないばかりか、なぜか見に行く気もまったくなかったようです。1967年の「日本の一番長い日」(半藤一利原作、岡本喜八監督)には夢中になっていたのですが・・・。

昭和3年から14年まで11年余り、日本がいかに欧米に伍して帝国主義に走り、財閥と手を組んで陸軍を中心に満州へ権益を広げていき、そして、ノモンハンで敗戦濃厚になるまでを丁寧に描いていいきます。

全部で10時間を超える作品ですから、出演者も豪華かつ多数にのぼります。それにしても、CGもなかった時代によくぞ撮ったり、撮影技術の高さとその結果としての見事な映像に驚きます。

今から50年以上も前のことですから、せりふや描写に、今では到底許されない場面も少なからずありますが、そうしたところを差し引いても十分鑑賞に耐える作品でしょう。

終幕のノモンハン事件は、ソ連軍との間で決着がつかず、引き分けという説もありますが、その後の検証では日本軍の負けは明らか。ここから、世界は第二次大戦へ、そして日本は太平洋戦争に突入、そして敗戦と坂道を転がり落ちていくわけで、そのとっかかりの10年を描いたに過ぎませんが、日本の近代史上、もっとも重要な部分とも言えます。特に戦争を知らない世代にはぜひ見て欲しい作品です。